BOOK

□いつかきっと
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「ん‥‥。」

布団からでると朝の冷たい空気が自分に纏わり付く。

もう朝か。
もう少し寝ていたいとも感じた。
王宮にいたときはもう少し寝ていたっけ。

エナジストとしてカルトンに選ばれたものの、あまり戦闘慣れをしていない自分には少しきついと感じた。

稽古はするものの、実際外にでてこんなにたくさんのモンスターと戦ったのは初めてだった。

ふと、横をみるとまだムートは寝ていた。

一緒に寝ていたはずのテリーとクラウンの姿は何処にもなかった。

何処に行ったのかとか考えたが安らかに寝ているムートを見ると二人のこと考えることより、目の前にいる彼をじっくりと見ていたいと感じ始めた。

細身で簡単に壊れてしまいそうな彼。

けれど、全然そんなことはなくて‥‥。

実際に一緒に戦ってみると、誰よりも戦い慣れているようだった。

戦っている時の彼は本当に美しかった。

流れるような攻撃に敵の攻撃もひらりとかわせる身軽さ。

自分とは何もかもが違った。

自分は彼のように体力があるわけでもなく、攻撃力も、身軽さもなかった。

エナジーはあっても使い方がわからなければ意味がない。

プライは使えるが、彼のようにリバイブは使えない。

自分がここにいるのは彼らの邪魔ではないのだろうか‥‥?

だったら‥‥。

ハルマーニは静かにムートいる部屋をでていった。




「はっ!!」

宿屋をでて、モンスターと一人で戦ってみた。

少しでも彼に近付きたくて‥‥追いつきたくて‥‥‥‥。

いつかはこの手で彼を護りたくて。

少しずつでも戦って強くなりたかった。

「ハルマーニっ!!」

遠くの方でムートの声がしたが、今の彼の耳には届かなかった。

「っ!!」

上手くよけきれず、敵の攻撃を受けてしまう、そう感じた瞬間だった。

「危ないっ!!」

たった一瞬の出来事だった。

右側から黄色の何かが飛んできて自分を左に飛ばした。

それが何かなんて考えるよりも先にわかった。

それは顔を上げ、微笑んだ。

それと同時にモンスターの攻撃がヒットし、それは後方に飛ばされた。

「っ!!ムートっ!!」

ムートは地面にたたき付けられ動かなかった。

「このぉ−−っ!!」

怒りにまかせて敵を攻撃したのは覚えているが、気付いたら敵は消滅していた。

「ムート!!」

私はムートの傍にかけよりプライをかけた。

「ハルマーニ‥怪我は‥‥?」

「私は大丈夫です‥‥。」

情けない。

護りたかった人に護られてしまった。

「あの‥‥ムート。
ありがとうございます。」

「気にするな。
それに君にプライをかけてもらえてるしね。」

にっこり笑って彼は言った。

「‥‥いつか必ずムートを守ってみせますから。」

ふとこぼれた本音。

それはムートの目を丸く変形させた。

「‥じゃもっと強くならなきゃね。王子様。」

そう言った彼は頬を赤らめ、笑っていた。

「えぇ、もちろんです。」

いつか必ず君を護れるような王子になってみせます。

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