見てろよ神様

□食卓は戦場
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「おせぇよ。」

「おめぇらこの俺の腹の高鳴り…どうしてくれるんだ!」



広間に入ると腹を空かせて苛立っている原田さんと永倉さんがいた。



「すみません私のせいで…」



千鶴が申し訳なさそうに謝ると先ほどまで不満顔だった二人がそろってきょとんとした表情になる。



「なんでそいつがいるんだ?それに紫帆も。」

「なんだよ、いちゃ悪い?」



そう言った原田さんに平助は少しむっとしながら言った。



「ん?んなこたねぇが…まあ飯はみんなで喰ったほうが美味いに決まってる。」



笑いながら永倉さんはそう言ったけど、多分私たちを部屋から出すことが不安なんだと思う。



「ほら、そんなとこにつっ立ってないでこっちに座れ。」



気を利かせてくれた原田さんが少しずれてくれたので平助が千鶴のお膳をそこに置いた。ちなみに私のお膳は私が自分で持っている。


「っと…はいよ。」

「ありがとうございます、藤堂さん。」

「あぁ……」



千鶴がそう言うと平助はくるりと振り向いて口を開いた。



「その藤堂さんって止めない?みんな平助って呼ぶからそれで良いよ。」

「で、でも…」



言いしぶる千鶴に私が口出しする。



『そうだよ千鶴。さんなんて付ける必要ないって。平助だし。』

「平助だしってなんだよ!まぁとにかく、歳も近そうだからその方がしっくり来るし、俺も千鶴って呼ぶから。」

「じ、じゃあ平助くんで…」

「そうそう、それで良いよ。んじゃ千鶴、今日から改めてよろしくな!」

「はい!」



ニカリと笑った平助に少し照れながらも千鶴も微笑んだ。



「紫帆もいつまでもボーッと立ってんなよ、俺の隣来れば?」

『はーい。』



お礼を言いつつ私も平助の隣にお膳を置いて座った。そして各々、ご飯を食べ出したんだけど…



「しかし今日も相変わらずセコい晩飯だなぁ…というわけで!」

「あ゙っ!ちょっと新八っつあん!」

『……』



隣で始まるおかずの奪い合い。

いつもだったら千鶴と2人仲良く(?)お食事タイムだっていうのに今はこんなにも遠い…

でもここは無視するのが一番だろう。変に口だしして巻き込まれでもしたら大変だし。

そう思い私はだんまりを決め込んだ。



「何で俺のおかずばっか狙うのかな?」

「わははは!それは体の大きさだ。大きいやつはそれなりに食う量が必要なんだよ。」

「!じゃあ紫帆から取れよ!紫帆の方が俺より小さいじゃん!」

『っな!』



予想外な平助の言葉に私は声を上げる。何でここで私の名前だすかな!?ギッと平助を睨むとそいつはニヤリと嫌な笑みを浮かべた。

こいつさっきの仕返しかァァァ!



『な、何で私の名前が出てくんのよ!だいたい平助と背なんてそんなに変わんないしね!ちび助!』

「あ!てめっまたちび助って言ったな!?」

『ちびにちびって言って何が悪いんですか〜?ちーび!ちーび!あ、ち美少年。』

「何上手いこと言ったみたいな顔してんだよ腹立つ!上手くともなんともねーからな!しかも最後の褒め言葉だし!」

「まぁまぁ、そう喧嘩すんじゃねぇよ。」

『「誰のせいだと思ってんだ!」』







「毎回毎回こんなだ。騒がしくてすまねぇな。つーか紫帆のせいで一段とうるせー気がするわ…」

「いえ、なんだかみんなでわいわい食べるのって楽しい…紫帆ちゃんも楽しそうですし。」



笑顔の千鶴を見て原田さんはゆるく微笑んで言った。



「やっと笑ったな。」

「え?」

「最初からそうやって俺らの前でも笑ってろ。俺らもお前を悪いようにはしねぇさ。」



千鶴は原田さんの言葉に一瞬きょとんとしていたがまた笑顔に戻り、



「はい!」



元気良くそう返事をしたのだった。



「分かった、分かった。俺が平助から取った分、紫帆ちゃんからも取れば良いんだろ?よっと。」

『ちょ、何でそうなるんですか!これ永倉さんしか得してないでしょ!?』

「うし、これでみんな平等!」

『「どこがだァァァ!」』



「「……」」
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