見てろよ神様

□たんじゅ…ゲフンゲフン!
1ページ/4ページ


本日の天気、全国的に晴れ。
絶好の修学旅行日和。


そんなある日、私は全力でチャリをこいでいた。



『…寝坊したぁぁぁ!』



叫びながら。

しかしまわりに人は居なく、それに答える者などいない。

…前の台詞から大方の人が察しているとは思いますが、あえて言いましょう。



遅刻です。



『もっと早く寝れば良かった…っ』



私は苦々しげに呟く。

でも今さらそんな後悔をしたって遅いわけで、ただ今道無き道を絶賛爆走中。

そもそも昨日なかなか寝付けなかったのがことの始まりだった。

高校生もなってドキドキして眠れないという遠足前の小学生状態に陥ってしまったのだ。

自分の精神年齢恨む。


そして冒頭にもあったとおり私は現在盛大な独り言を溢しながら全力でチャリをこいでいるのだ。

現時刻は7時55分。ちなみに出発は8時だ。
完璧遅刻どう頑張っても遅刻!



『フフフ…!』



しかしそんな極地に立たされながら私は余裕ありげな笑みをこぼした。確かに普通に考えたら間に合う距離ではない。

それでも私が笑っていられる理由…それは近道!

常日頃から時間ギリギリな生活をしている私は自分しか知らない学校への近道があるのだ。

それを使えば通常なら20分かかる道のりをなんとたったの5分で行けてしまう。


でもそれには大きなリスクがある。


その近道は林のような場所を突っ切って進むため、周りはすべて木や草で目印なんてものは何もない。

よって、迷ったら最後。通常の何倍もの時間がかかってしまうのだ。

つまりは感で進むしかないということ。まぁ、あとは私に運があるかどうか。

神よ!私に力を!
日頃の行いが良い私に力を!



「───…」



そんな願いを込めつつチャリを漕いでいると左のほうから微かに声が聞こえてきた。

皆がいるのかもしれない!よっしゃ、神は我に味方したり!

そう思い私は即座にハンドルを曲げた。










『…神様のバカ野郎ぉぉぉ!』





しかし、目の前には階段が。
神は私を見捨てたのだった。





見てろよ

次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ