見てろよ神様
□あだ名をつけてみる
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「……ん……?」
鳥のさえずりが聞こえてきた頃、千鶴はようやく目を覚ました。
『あ、起きた。おはよ千鶴。』
「紫帆ちゃん、おはよ…って、わ!ひっどい顔!」
『起きてそうそう失礼な…』
千鶴は私の顔を見るなりそう吐き捨てた。鏡とか無いから分かんないけど相当ひどい顔してるんだと思う。一睡もしてないし。そしてその後すぐにふすまが開いて人の良さそうなおじさんが顔を出した。
「ああ、目が覚めたかい。」
『(一睡もしてません…)』
まぁそんなことは言えるはずもなく、その人の自己紹介を聞いた。優しそうなこの人は井上さんと言うらしい。
井上さんは私たちの縄をほどいてくれ、これから新選組の幹部の人たちのところへ行くのだと私たちに告げた。
真選組なら良かったのになぁ…トリップ的な。モノホンじゃなー…
そんな呑気なことを考えながら井上さんについていった。
ガラッ
部屋につくとそこには新選組の幹部がずらり。突き刺すような視線が私たちに向けられた。
怖っ!怖すぎるよなんなのこの迫力!あ、でもイケメン。
「おはよう。昨日はよく眠れた?」
「……あ」
昨日あの場にもいた茶髪の男が話しかけてきた。来るまでに井上さんが幹部の人たちの名前を教えてくれたけど、誰がどの名前だか分かんない。
よし、分かんないからこの人は仮に茶髪としよう。
「……寝心地は、あんまり良くなかったです。」
千鶴が小さい声でそう返す。
「ふうん…。そうなんだ。さっき僕が声をかけたときには、君、全然起きてくれなかったけど…?」
「!?」
いや、この人部屋来てないし…
「…からかわれているだけだ。総司は、おまえの部屋になんか行っちゃいない。」
すると昨日会った黒髪でポーカーフェイスの男が助け舟を出してくれた。
よしこの人はマフラーつけてるから寒がり。
「もう少し君の反応を見たかったんだけどな。…一君もひどいよね、勝手にバラすなんてさ。」
そう言いつつも茶髪からはとくに残念そうな様子はうかがえず、にこにこと笑っていた。
「君は…あんまり眠れなかったみたいだね。」
うおっ!?私に話しかけてきたよ!
私のことはほっといて!
「…おい、てめぇら。無駄口ばっか叩いてんじゃねぇよ…」
部屋の奥の方から声が聞こえ顔を向けると昨日千鶴に刀を向けていた男。
この人は…なんか目が怖いから写輪眼。髪黒いし。