見てろよ神様
□私は…誰だ?
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『…』
私は何と言っていいのか分からず黙りこむ。視線が痛い。
いや、女子校育ちの私としてはこんなにたくさんの男から一斉に見つめられるってのは嬉しいことですよ?しかもイケメン。鼻血もんですよ。でも何しろ空気が…
そんなことを考えてるいると痺れを切らした土方さんが私を睨み付けながら言う。
「おい、お前。何でさっきから黙り込んでいやがる。昨日の威勢はどこにいった。」
『…』
そんなこと言ったって本当のこと言っても信じてくれないでしょ…
本格的にどうしていいか分からなくなったそのとき、
「こ、この人は私の姉です!」
他の人たちより高い声が部屋に響いた。
「ふうん…君、お姉さんなんだ。」
『…』
沖田さんがニヤニヤとした笑顔を向けながら呟く。ムカつくなぁ…この人。
「そ、そうですぅ!?江戸から姉妹2人、はるばる京にやって来たんです!」
「「「…」」」
「な、何ですか!ほんとに姉ですよ!」
『…』
声裏返ってるし。
助けてくれるのは嬉しいんだけど、嘘下手だな千鶴…目泳ぎまくり。
嘘をついていることは一目瞭然だった。それに彼らが気づかないわけもなく、土方さんが深くため息をつく。
「下手な嘘はつくもんじゃねえよ。自分の身を滅ぼすことになるぞ。」
「な!…う、嘘なんかじゃないです!ほんとにほんとです!」
なおも姉だと言い張る千鶴。これ以上は千鶴の身が危ない…
『…ありがと千鶴。でももう良いよ。』
「!」
そう思い私は口を開いた。やっと話し出した私に新選組の人たちが少し驚く。
「で、でも紫帆ちゃん!」
「チッ、埒が空かねえな。…源さん悪いがソイツを部屋に戻してきてくれねえか。」
「はいよ。」
土方さんが指示を出すと井上さんは千鶴を部屋の外へと連れ出した。
「紫帆ちゃん!」
千鶴が涙声で私の名前を叫ぶ。不安そうに私を見る千鶴に口パクで大丈夫、そう言った。