見てろよ神様
□暇すぎて死ぬ
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彼は見た通りの純情少年でした。
「いくら部屋の中だからってありゃねーぜ…」
彼はそう言うものの私は普通に制服を着ていただけだ。少しスカートがめくれていただけで別にパンツが見えていたわけでもない。何の問題もないと思ったんだけど。
「これで土方さんが俺に頼んだ理由がよーく分かった。」
なんかぶつくさ言ってる彼のあとを無言でついていく。彼が部屋に来た理由は袴を着ろとのことだった。屯所に住むにあたって私たちには男装することが義務付けられた。
でも私が袴やら着流しなんて持っているわけがなくそのまま制服で過ごしていたんだけど、流石にいつまでもそれじゃいかんだろ、ってことになってちび助が来たらしい。
「ここが俺の部屋。ちょっとそこら辺にでも座って待ってて。」
言われた通り、指定された場所にちょこんと座る。しばらくすると彼が戻ってきた。
「俺の昔の袴。出したはいいけどどれが良いか分かんなくてさ。適当に一つ選んじゃってよ。」
『…』
そう言って3着の袴を床に広げた。私はそれをじっと見つめる。
『これが良いです。』
そう言って一番右端にあった紺色の袴を指差した。すると彼は驚いたように目を見開く。
「お前…ほんとにそれでいいのか?」
『? 別に問題ありませんけど…何か?』
そう問うと彼は考える仕草を見せだってさ、と口を開いた。
「それ、あきらかこの2つより汚ねーし、くたびれてんじゃん。」
『…』
ぜってーそれはないと思ってた、と心底意外そうな顔をされた。
…じゃあ何で出した。という言葉は心にしまっておく。
でも確かに彼の言う通り。
私が選んだ袴は色が褪せて着たおしましたといった感じだった。
『譲ってもらうんだから、一番差しつかえが無さそうな物をと思って…』
私がそう言うと彼はまたもやきょとんとした顔になったかと思うとブハッと笑いだした。
「んなこと気にしてたのかよ!遠慮なんてしてんなよ。どーせもう使わないんだし。」
なんなら俺がお前に似合うの選んでやるぜ、と鏡の前に移動して私に袴をあてがい出した。
そして鏡に写る私の姿を見ると感心するよう言う。
「それにしてもお前が着てる着物ほんと変な形だよなー肌出しすぎ。そんな格好襲ってくださいって言ってるようなもんだぜ?」
『…私の世界ではこれくらいが普通だったんですけど。もっと短い人もたくさんいましたし。』
これくらい、と言ってスカートの裾を持ち上げると真っ赤な顔をして制された。
か、可愛いいちび助…!からかいがあるな。