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□意外な一面
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教室から出ようとしたとき、我が緑ヶ丘学園の番長である桶川恭太郎という人物に話しかけられました。
…え、私に何の用。何か桶川くんの気にさわるようなことしただろうか。
いや、そんな記憶はない。
桶川くんとは同じクラスだけどまったくと言っていいほど関わりは無かったはず。桶川くん自体あまり教室にいなかったし。
呼び止められた理由が一切分からない。私のような一般ピーポーに何の用なんだ桶川くんよ。
しかし桶川くんは呼び止めたにも関わらず一向に話し始めようとしない。…速く帰らないとドラマの再放送が。
そして今教室にいるのは私と桶川くんの2人。クラスメイトらは桶川くんが私に話し掛けるのを見ると脱兎の如く教室から出ていった。裏切り者どもめが。
しかしこのままじゃラチが明かない。私は意を決して話し掛けることにした。
『あの、桶川くん。何か用かな?』
「…」
…え、シカト?いやいやいや、自分から呼び止めておいてシカトですか?何?新手のいじめ?私そんなに嫌われてんの?
「…それ、」
『っえ?』
私が1人もんもんと考えていると桶川くんは私のスクールバックを指差していた。このカバンがどうかしたのか…あ、
『…ネコマタさん?』
私のカバンについているネコマタさんのキーホルダーのことを言いたいのだと気付いた。この前行ったゲーセンでとったものだ。ほんとは他のが欲しかったんだけど、これが落ちてきてしょうがなくカバンにつけたのだ。
『桶川くん、ネコマタさん好きなの?』
「…生き方に惹かれる所がある。」
『…』
正直に好きって言わないところがかわいいと思った。いや、恐れ多くも番長である桶川くんを可愛いと思うなんて変なんだけどさ。素直にそう思ったんだ。…あ、そうだ。
『桶川くん、良かったらこれもらって。』
「!いいのか。」
『うん。私そんなに大好きってわけじゃないからさ、ネコマタさん。』
私はカバンからネコマタさんを取り外して桶川くんに渡した。
「あ、じゃあこれやる。」
そう言ってポケットから取り出したのは、ネコマタさんの映画のチケット2枚。
「誰かと行けよ。」
そう言われましてもこの映画一緒に見てくれる人なんか私の回りにいないし…
『じゃあさ、桶川くん一緒にいかない?』
「え」
『だってほんとは見ようと思って買ったんでしょ?私も一緒に行く人いないし…だめかな?』
あなたのこと
もっと知りたいと
思ったんだ
(どーしたんですかね、桶川さん。ボーッとして。)
(なんでも今週末、女とデートするらしいぜ。)
(マジっすか!)
――――――――――
半端な終わり方。
続くかも。