無双
□恋の手前から恋の自覚に置ける苦難の一ヶ月間
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三日
ここのところ、過去を清算するように振り返っていた。
寝る合間に布団の中で考えていた。
復讐してやろうと思っていたあのとき。
甘寧が憎くて仕方なかったとき。
人間とは単純で。
今もそうだが、自分のことしか考えていなかったんだろう。
俺はゆっくりと眼を閉じた。
憎かった。
あの時は相当、キていた部分もあって。
結局はあまりにもイラつきすぎて。
いつの間にか甘寧を殺すことばかり考えていて。
後をつけるようになり、隙をうかがうようになった。
一方、甘寧はお構いなしで隙がありすぎるほどにできていた。
それが逆に俺を怒らせて。
真剣に考えていない表情にイラついて。
何度、甘寧を殺しかけたことか。
表立って喧嘩を売れば買ってくるが、裏で喧嘩を売っても決して買いはしなかった。
その不自然な亀裂が余計に俺をいらだたせ、憤りを感じさせていたんだろう。
本当はわかってたんだ。
復讐の意味も。
それがどういうことなのかも。