無双

□恋の手前から恋の自覚に置ける苦難の一ヶ月間
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五日


復讐もできない。

口喧嘩じゃあ、俺が頭に血が上って喧嘩になる。

そして上司にしかられる。

それで、甘寧がろくでもないようなやつなら良かったんだ。

でも、水賊だったこともあり、人とのかかわりは広く大事にするやつで。

俺みたいに複雑な考え方する臆病ものならもっとありそうだったけど、甘寧は単純なやつだったから。

俺がなんか言わない限りもめることもなくそのまんまで。

まぁ、別にいいけどね。それは。

ただ、甘寧が相次いで手柄を立てるわ、なんだかんだですぐに馴染みやがって。

悪口言ってもしょうがないってんで、余計に腹がたった。

しかも、なにより甘寧の武は本物だった。

字も読めるし、多少頭がよかったもんだから、余計に。

憤りはいつも感じてた。

それでも心のどこかで認めてた。

あいつは自分よりも優れてるんだって。

それでもただ、認めようとしなかったんで、困った子供だったんだけどね。


 
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