幻想詩篇

□葵山葵のSS
1ページ/15ページ

『ネクストキング〜兄弟会議〜』







「それでは恒例の兄弟会議を始める。まずは今月までの中間計を先程アンゼリカから聞いた。発表しよう」

「構わないけど…オレガノが仕切るの?」

「不満か?バジル」

「そうじゃなくてさ…こういうのってマグワート兄貴が仕切るんじゃねぇのかなって」

「一理はありますけど…僕はオレガノ兄様の方が中立的に進行できると思いますよ?」

「リンデンの言う通りだ。存分に頼む、オレガノ」

「…コホン。では、まずマグワート票を発表します」



『サフラン、強い人ちょお好きだしぃ、マグワート王子ってぇ可愛いらしいトコあるのよ♪足痛いって言った時おぶってくれた背中も素敵だったしね!今はマグワート王子に投票したくなっちゃうなー』


『…私、弱虫で怖がりだから…モンスターと遭遇したら腰引けちゃって…。そうしたらマグワート様が「逃げるな」と背中を押して下さって…「必ず守る」と力強く言ってくださいました。この先変わることがあるやも知れませぬけど、このクミン、今はマグワート王子様に一票を入れたく存じます』


『漢らしいってのはあぁいう男のことを言うんだな!久しぶりに骨のある奴だぜ。まだまだ俺にゃ及ばねーが筋がいい。決して退かないあの姿勢は男の鑑だな。今んとこマグワートしか俺の眼鏡にかないやしねぇ以上マグワートに投票するさ』


『「マグワート様は約束してくださいました。私はその約束を胸にマグワート様についていこうと今は思っております。…約束の内容ですか?…恥ずかしいので内緒です」』


「以上、サフラン、クミン、マレイン、コリアンダーの4人が兄さんに投票しています」

「コリアンダーさんは手紙なんですね」

「口がきけないからな。いつかは歌を歌えるようになると…いや、してみせる」

「ははーん…約束ってそういうことか兄貴」

「コリアンダーが密にしたいというものを詮索するな馬鹿者」

「あははは…(相変わらず嘘がつけないんだな兄様…顔真っ赤だ)」


「なんにせよ全体の4分の1の投票率。流石は長兄です。負けてられませんよバジル、リンデン」


「そうだな、手強いぜ兄貴」

「そうですね。僕も結果が気になってきましたよ」

「では次はリンデンの結果だ。心して聞くように」




『うふふ…リンデン様ったら可愛いのよ?ちょっとしなだれかかったら茹で蛸みたいに真っ赤になっちゃうんだから!まぁ…もうちょっとかけたら私好みのふやけた男に仕上がるわ。だから…リンデン王子ね。今の私の退屈を凌げるのは』



『や〜っぱリンデン王子様よ!アタシがお願いしたら困った顔してどうにかしてくれちゃうんだし!もうすぐノルマ達成するし、王子にはまだまだ頑張ってもらわないとね。あたしゃ応援してるよ?お財布込みで、ね♪』


『…ねぇ、どうしようジョン君。今の気持ちなんて聞かれてもよくわかんないよ…え?正直に?えーと…えと………アッハハハハ!決まってるじゃないか!私の可愛い小犬はリンデンだよ!私が呼べば尻尾振ってついてくる従順な犬奴隷さ!わかったら靴をおなめ!この盛りのついた駄目犬め!』


『リンデン王子ね。私の研究に一番協力的で、かつ扱い易くからかい甲斐があり、愛嬌は文句なし。後足りないのは身長と度胸かしら?今開発中の薬を渡しておいてもらえるかしら?数秒で効果があるはずよ?』


「…以上、ローズマリー、ジンジャー、ディル、カモミールの4人がリンデンを支持している」


「…なぁ、これって通知表の通信欄と同じようなことばっか書いてあるぜ」

「確かにリンデンはただ遊ばれている感が否めんな」

「遠目から見る限り子犬の散歩のようですしね」

「うわっそれ酷いですよオレガノ兄様!」


「うっははは!いいなそれ!俺見かけ次第『お手』って言うわ!あはははは!」


「バジル、それぐらいにしておけ。笑ってはいるが3人の有権者の投票を得ているのは偏にリンデンの力に依るところだ。やるな、リンデン」

「は、はい!有り難うございます!」


「ホントに小動物みたいだな…」


「あぁ、それとリンデン。カモミールからです。受け取りなさい」


「え゛…」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ