幻想詩篇

□山葵漬け
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『ラクリマ』


山葵がファンタジーを題材にして生まれて初めて書ききった作品と呼ぶには生っちょろい物語。
中学生の時授業中に書いてました。

主人公…ファラック
魔人と人間のハーフ。孤独を愛する世捨て人。世界が魔物の進行に恐れる時代、魔物にも人間にも疎まれる存在であることを自覚懸念し、自分の在り場を求めさすらう。
シルクと出会うことで、世捨て人であった彼の運命は世に働きかける方向へ劇的に変わっていく。


ヒロイン…シルク
種の保存が困難視された妖精達が次々に滅びていく中、奇跡的確率でこの世に生まれ落ちたハイフェアリーの少女。
彼女は妖精の中でもとりわけ強い力を有し、こと障気を浄化すること関しては聖騎士達の力をもってしても及ばない程であった。
しかし彼女はもともと短命の宿命を背負ったハイフェアリーであり、それゆえか生きる目的を見失い、このまま里で朽ちるならばと思い立ち身投げするところをファラックに出会い、彼に付いて回ることを決意する。




あらすじ。


世界を4つに割った神々の戦の後、生き残った4体の神はそれぞれの世界を保有し、不可侵を誓うことで戦いは終わりを告げる。

人間の住まうアルアード

魔物の住まうカイザース

精霊の住まうサリューナ

幻獣の住まうターゼルン


これで世界のバランスは保たれていたがある日、幻獣会から狂暴化したユニコーンが精霊を食い荒らすという事件が発生。
この事態を重くみたサリューナの神は幻獣界を打ち滅ぼし、幻獣を一体残らず消し去ってしまう。

そのあまりの暴挙にターゼルン神は激怒。人間界、魔物界の見逃しも許せぬとし、霊魂と化した幻獣を使役しそれぞれの世界に攻め込み誓いを破棄する。


世界は混乱し、人と魔物と妖精と幻獣は再び一つの世界で争うことになった。

…という長い世界観があり、そこに主人公がいる、と。


もともと魔物と人間は仲が悪いワケではないのに、仲違いをすることになり尚且つファラックはハーフ。本人の捻くれっぷりは山葵の作品中一番です。
シルクは山葵が当時大好きだった杉部奈穂というキャラクターの影響をモロに受け、ほんわかまったりボケボケキャラの王道(脇道)をひた走っております。趣味で。
ファラックとの掛け合いもいい感じに噛み合わず、結局ファラックが折れるという場面もしばしば。

ラストシーンでは、死にゆくシルクを抱きしめながら「こんな時…どんな顔をし、どんな声をかけ、どうしてあげればよいか…俺は知らない」と言う台詞があって、もともとこの一言から広がっていったのがこのラクリマというお話。

そして、シルクの「泣いてください。私がいなくなるのは寂しいって泣いて、私の名前を呼んで、抱きしめて、一生好きでいてください」

この台詞を言わせたくてシルクを旅させてました。


そして、風に同化するように消えていくシルクに「もう泣かない。そしてお前を生涯愛し抜くと誓おう。シルク」
と告げるファラック。

「やった、初恋成就」
と涙を一粒落とし消えるシルクだった。



その後。4つの世界を平定すべく立ち上がる戦士が一人いた。
深紅の髪に青い瞳を輝かせ、それぞれの世界に平和をもたらすべく日夜奮闘する戦士は、胸に碧色の石をペンダントにし、生涯身につけて離さなかったという。



その戦士はいかな苦境でもくじけずにひたすら前を見据え剣を振るった。

人々は言う。

「きっと彼の代わりに涙を流しているのは―」





今日も彼は戦う。


胸に涙を想いながら―




というお話を大学ノート一冊弱5章仕立てで書ききり、今や行方を知る者はいません(ぉ

記念すべき完成品なんでよく覚えてますね。
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