□■FF7
□Child's heart
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ゴールドソーサーに向かうゴンドラの中。
高い位置から見える景色に、いつもなかなか見せない笑顔を見せて楽しそうにするクラウド。
それに向かって「子供だなー」などと言ったのはどこの誰だったか。
Child's heart
「次あれ!あれ乗ろうぜ!!」
いつの間にか園内の楽しげな雰囲気に乗せられ、まるで子供のようにはしゃぐザックスに手を引かれて、クラウドは苦笑しながら走った。
本当に18か?と思うような子供っぷりだが、こういう場で冷めているヤツよりはずっといいだろう。
でも。やっぱり。
「ザックス、ちょっとはしゃぎすぎだよ!」
「おぅ!クラウドはもっとはしゃげ!」
一人で突っ走りそうなザックスに、恥ずかしいと言外に含めてそういうがまったく通じない。
それどころか、言い返されてしまった。
「………」
なにが『おぅ!』だか…。
そうは言われたものの、クラウド自身としては結構楽しんでいるのだ。
いつもよりも笑う回数は多いような気がする。多分。
「おっさん早くしろよ!もしかして、年でもう疲れたのか?」
ふと立ち止まって後ろを振り返ると、悠然と後を歩いてくるセフィロスに向かって揶揄うように言った。
空いたほうの手を腰に当て、ニヤリと笑う。
「全く…お前はまるで犬だな…」
「犬ぅ!?」
しかし、揶揄ったつもりが逆に揶揄われた。
「ホントにな…」
「な…クラウドまでっ」
さらにクラウドまでセフィロスの言葉に苦笑しながら同意を示す。
クラウドまでそんなこと言うなんて言われるなんて。
ザックスが、見るからに”ひでぇ”と言わんばかりの顔でクラウドを見た。
が。
「いや、冗談だよ…」
言いながらもクラウドの目はザックスを見ていない。
セフィロスはセフィロスでザックスに言われた言葉を意にもかけず、急ぐ気など全くないと言いたげにそのまま歩き続けて。
なんだか下手に口を出さない方がよかった感じだ。
おっさん呼ばわりがそんなにいけなかったのだろうか?
「ところでさ、ザックス。」
「…あん?」
「思わず手ぇ引かれて急いできたけど、”あれ”ってどれに乗る気だ?」
そういえば、と今更ながらに思い至って、尋ねた。
ちょっとイヤな予感と共に。
「ん?これ」
すぐそこに並ぶそれぞれへの入り口。
「まさか…ね?」
恐る恐るザックスの見上げたプレートを指し示して、どこか引きつった顔で振り返る。
「その、まさかだぜ?」
クラウドの指の先にある名前は”SPEEDスクウェア”その先にあるのはシューティングコースターしかない。
(やっぱり…?)
「いや、あの…」
返ってきた肯定の言葉に突然顔色を変え、口篭もる。
「おっ。もしかしてクラウド、怖いのか??」
「だから…っ」
「いいっていいって、俺が隣に乗ってやるから♪」
(…そうじゃない…っ)
知っているくせに、浮かれているためか気づかないらしい。
クラウドも素直に言えばいいのに、下手な…いや、無駄なプライドが邪魔をする。
「何をしている。置いていくぞ」
いつの間にやら追いついたセフィロスが、2人を横目にそう言って歩いていく。
行く先は分かっているのか。
歩くスピードもそのままに、アトラクションへ続くトンネルをくぐっていった。
「おっさん、そこ違う!」
「…なんだ、違うのか」
バトルスクウェアのプレートがあるトンネルから、なんでもないような顔をして戻って来た。
さりげなく、自己主張だろうか。
「セフィロス…」
なんともいえない表情でクラウドが思わずつぶやいた。
「ったくーわかんねぇなら、先歩くなよな?」
「…フン」
なぜかザックスが主導権を握り、気を取り直してSPEEDスクウェアに向かう。
途中で会話を切られたクラウドはそれ以上何も言い出せないまま、冷や汗をかいて。
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