□■FF7

□Once more Z.side
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彼と、あなたと・・・もう一人。任務で、私の故郷だったニブルヘイムという村へ来たときの写真よ」

このときは、一緒に撮らなかったんだ。
だって、まさか来ていたなんて知らなかったから。


「って、ことは・・・やっぱオレも神羅兵だったんだな」


「しかも、ソルジャー1stのね」


「・・・・・・マジ?」


確実に俺を知っている者に確認して、そうだろうなとは思っていたけど改めてソルジャーだったのだと認識した。
しかしまさか、兵士の中で精鋭といわれるソルジャーの、更にその中でトップのクラスにいたとは。


「えぇ、やっと昇格できたんだ、って言ってたわ。あの時の貴方」


少し懐かしそうに目を細める。
そして、ふと視線をこちらによこして


「そのドッグタグも、あの時見せてくれたのよ。」

自分の鎖骨辺りをちょんちょん、と指で突付いて笑ってみせる。




「・・・そっか」

なんとなく思い出すような気はするものの、やっぱりまだ”記憶”ではなく、そういうことがあったのだと。
ただの”情報”としか認識できないことに、ザックスは苦笑した。


もう少し、なにか・・・。


そう思ったところで、ふ、と笑顔の消えたティファの口からその続きが語られた。





「セフィロスはね、その後、人が変わってしまったの。ずっと姿を消していて、数日振りに姿を見せたと思ったら
突然村のみんなを切りつけて、そして村に火をつけたわ。・・・・・・強力な魔法だからあっという間だった」


一面の火の海。
眼下に広がる、真っ赤な。


・・・見たことがある。

分からないはずなのに、言われてふと思い浮かんだその情景。
まさしく、火の海というに相応しい、そんな。

霞がかかったようにぼんやりと、でも夢というにはあまりにリアルな。


そう、オレはそれを見たことがある。


真っ赤な炎と、金色と銀色の――。

・・・?
さっきの写真から、銀色はそのセフィロスだとして、


―――・・・金色??



今、もっと別のものが見えたような気がしたのだけど、一瞬浮かんだそれはすぐに消えてしまって。
結局なんだか分からなかった。


「・・・・・・・・・」


「・・・ザックス?」

「ん?――あぁ」


「大丈夫・・・?」


少し不安そうな顔で、軽くザックスの顔を覗き込む。
もしかしたら、思い出すどころか逆効果で混乱させただけだっただろうか、と。


「・・あぁ、大丈夫だ。」

「ほんとに?・・・疲れたら言ってね。なんだか、あまり顔色もよくないみたいだし・・・」


ザックスは大丈夫だとは言うものの、実際街でその姿を見つけたときからあまり顔色がよくなかった。
やはり疲れているのだと思う。
身体が、というより心が。


「サンキュな、でも今は大丈夫だから」

「分かったわ」



休むよりも知りたい、というザックスにティファはうなずいた。





「・・・・・・・・・」


一番ザックスに話したいこと。
思い出して欲しいこと。
それを、・・・クラウドのことを話すのをティファは躊躇った。


もしも、クラウドのことを話しても思い出せなかったら。
あんなにザックスに逢いたがっていたのに。
ザックスがいない世界なんて、いっそ後を追って死にたいと思うほど、ザックスを想っていたのに。


そのザックスがクラウドのことを忘れてしまっていると、思い出せないと知ったら?
あのころと変わらない姿で、「分からない」と言われてしまったら・・・?


それでも。
生きててくれただけで嬉しいと、きっとクラウドはそう言う。
確かにその気持ちは本当だとしても、忘れられてしまったことに心で泣いて、強がって見せる。



でも、言わなきゃ。





「あの、ね・・・ザックス」

「・・・まだ、なにか分かることあるか?」


「うん」


「話してくれ、なんでもいいから」

どんな小さなことでもいいから。
オレに関わること。


「長くなるけど、今からでいい?」

「あぁ、かまわねぇ」




「・・・・・・わかったわ」








そうしてティファは話し出した。
長く大きな戦いのこと、そしてその戦いと、オレに深く関わった人の話を。




そしてオレは、ずっと感じていた”思い出さなきゃいけない大切なもの”を、ようやく取り戻すことになる。




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