□■FF7
□気持ち
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その後、お互いにいつも通り接しようとは思っているが、どうしてもいつも通りというわけにはいかない雰囲気に、朝食を食べ終えるとちょっと出かけてくる。夜には帰るから、とザックスが外へ出て行った。
そして、一人になったクラウドはクラウドでまた困っていた。
ザックスに返す答えはもう、出ている。
その答えを言えば、ザックスが喜ぶ…というか、嬉しく思ってくれるというか…。
そうなるのも分かっている。
でも。
夕べ決めたからというわけでもないけど、やっぱり自分からその話題を出すのはかなり恥ずかしい。
どう切り出していいか分からない。
ストレートに『昨日の返事だけど』、と言ってしまえば簡単なのかもしれないけども…。
「………やっぱ無理…」
ため息とともに小さく声に出して、天井を仰いでソファに凭れる。
そのまま色々と考えている間に、夕べ寝られなかったせいか眠気に襲われて再び目を開けたときには既に外は暗くなっていた。
精神的に疲れたのか、かなりぐっすりと寝入っていたらしい。
ずっと上を向いていたのが原因だと思うが、ちょっと首が痛い。
せっかくの休みがあっという間に終わってしまった気がする。
ザックスは夜には帰ると言っていた。
帰ってくる前に起きられてよかった…。
そしてその言葉通り、まもなくして帰って来たザックスが、朝はクラウドが作ってくれたから夜は俺が作るな?と台所に立った。
慣れた手つきで、包丁をさばく。
それから一時間程して出来上がってきた料理は、いつもと変わらず美味しそうなものだったが、気持ちの問題なのだろう。あまり味が感じられない気がした。
なんとなく気まずい雰囲気を消すように、ザックスがいろんな話題を振ってクラウドがそれに相槌を打つ。
そこそこに会話をしながらたまに笑いながら、食事を終えた。
「じゃ、俺片付けるね」
「あぁ、いいっていいって。クラウド座ってろよ」
軽く笑顔でそういって、ザックスがてきぱきと動き出す。
何かしてないと落ち着かないのかもしれない。
することの無くなったクラウドは、自室に戻ってしまうのもどうかと思うし、と。
リビングのソファに座って、テレビを見るともなしに眺めていた。
テレビの画面を視界に入れながら、その内容はちっとも入ってこない。
相変わらず、ぼんやりとザックスのことを考えていた。
正確にはザックスにどう伝えたらいいか、ということだが。
「なに観てんだ?」
やがて洗い物を終えてリビングへやってきたザックスがそういいながらソファへ腰を下ろした。
昨日のことがあって、なんとなく2人でソファにいるのは緊張する。
「ん…適当に…」
「そうか」
苦笑するように短い返事をして、テレビの画面の方へ視線を向ける。
ザックスもこれといって見たいものがあるわけでもない。
「うん…」
クラウドは、またしてもどうしていいか分からなくて視線を泳がせた。
早く言ってしまって、こんななんともいえない空気をなんとかしたいのだが。
…言い出すにもきっかけが無い。
ザックスの方をちら、とみては俯いたりテレビを見たりと落ち着かない。
「………」
そんなクラウドにザックスが気付かないわけもなくて。
これは、昨日の返事を聞いてしまってもいいのか、と考える。
そうして考えてみれば、クラウドがこんなことを自分から言い出せる性格でないことはわかりきっているじゃないか。
それでも、クラウドなりに言い出すきっかけを作ろうとしている。
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