□■FF7

□本の虫。
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―――いつまで保つかなぁー……

こぼれてくる笑みを隠し切れず、ニヤリとほくそ笑む。
きっと、クラウドがその顔を見た日には

『うわっ、何そのヤラシイ目!?何考えてんだ!!』

とか、いってくるのだろう。
が、しかし今は必死に本へ顔を向けているのだから、見られることはないはず。


ゴソゴソと服の中へ手を忍ばせ、胸の突起を弄ってみたり、時々くすぐってみたりなんてしながら我慢し続けるクラウドへ――――


「〜〜〜っっいいかげんにしろッ!!!」


と、ついにクラウドが切れた。
本を投げ出し、こちらへ顔を向けてくる。
その目は我慢も限界を迎え、怒りを湛えた目。


「ん?」


しかし、ザックスはクラウドの怒声にぴたりと手を止め、すっとぼけた声を出して。


「何考えてんだアンタ!!?」

「クラウドとヤりたい」

「――ッ!?」


すっとぼけた割には、あっさり口にされたその言葉に一瞬あっけにとられ。
それでも持ち直したクラウドは、聞かなかったことにして。

「あれか?構ってもらえないと吼えて注意を引こうとする犬か!?犬と一緒か!?」

犬にしてはタチが悪い。
しかし、負けじとザックスも言い返す。


「だってよー、俺が帰ってきてからずっと本読んでるんだぞ?俺がいつ帰ってきたかお前知ってるか??」

「…ぅ」


やっぱり、あの『・・・・おかえりー・・』は条件反射だったらしい。
そうかなーなんて思いつつ、やっぱり事実だったことにちょっと打ちひしがれながら、


「俺が9時に帰ってきてからもう2時間以上だぞ?もう11時すぎてんだぞ?」

「え、11時!?寝なきゃ!!」

やばい!、と時計を見てそのままザックスを無視してベッドに潜り込もうとするクラウドを

「コラコラコラコラ」

引き止める。


「ごめん、その話は明日ね!明日の朝早いんだ」

普段寝る時間よりも1時間以上オーバーしている現状に、怒りも忘れ、クラウドの頭の中は『寝る』一色。
クラウド曰く”育ち盛り”の今、睡眠不足は大敵。
しかも、明朝はいつもよりも早いらしい。


だからって!だからって…!!


ゴソゴソとクラウドのベッドに一緒になってもぐり込んだザックスは、鬱陶しがられながらも後ろから抱きすくめ


「な、クラウド、中途半端でつらくないか?」

「…頼むから寝かせてくれる?」


振り向いたクラウドに半眼で見据えられ。


「一回だけ」

「ヤダ。絶対一回じゃ終わらないだろ」


頼む、嫌だ、の押し問答を繰り広げ、このままじゃいつまでたっても寝られない、と時間を聞いたとたんに既に眠くなっているクラウドから、

『今度休みの前の日好きなだけしていいから、だから寝かせて』

クラウドにしてはあまりに考えなしな、そしてザックスにはおいしいお許しを得て。
したり顔なザックスは


「…その言葉、忘れんなよ? おやすみクラウドv」


下手な悪役みたいな言葉を放ちつつ、大人しく引き下がった。
が、クラウドが自分の放ったセリフの恐ろしさに気づき、


「うわーちょっと待って、今のなし!」

なんて慌てて言った頃には時既に遅し。


「聞こえねー、んじゃなーおやすみー」

絶対聞こえてるはずなのに、聞こえないと言い放ち、鼻歌交じりの上機嫌で部屋から出ていくその後姿。

そんなおいしい話の取り消しなんて取り合う気さらさらありませんよー、という空気に満ち溢れた
ザックスは、『おやすみー』の言葉と共にドアの向こうへ消えた。


「…く…っ・・最悪だ…」

クラウドは自分の間抜けさ加減に頭を抱え、次の休みはほぼなくなったと言っても過言でないことに嘆き。
それでも、休みと引き換えに得たせっかくの安眠の時間をこれ以上減らしてなるものかと、眠りについた。

ちなみに、次の休みはその夜から数えて2日後だったりすることには、幸か不幸か、クラウドはまだ気づいていなかった。




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