□■FF7
□鬼の霍乱
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夜。
クラウドが自室へ帰ってくると部屋の中は真っ暗だった。
出掛けたのかと思ったが玄関には靴が今朝のまま置いてあって。
だから寝ているのかもしれない、とザックスの部屋のドアをノックしてみたけども返事はなかった。
…まぁもしそうなら返事なんてないのだろうけど。
寝ているのなら遠征で疲れているのだろうしそのままそっとしておいた方がいいかなと考えて…、
でもそれより「帰ってきたなら教えてくれよ」といわれそうだったので、迷った末ドアを開けて部屋に入った。
「…ザックス?」
やはり寝ていたらしく部屋の中は真っ暗で、ベッドには普段と違って大きな図体を小さくして眠るザックスが居た。
いつもはこれでもかと手足を投げ出して寝ているのに今のこの姿は……まるで本当に犬みたいだな、とか思ったのは内緒だ。
まるで明かりがないのもやり辛いので、入り口のドアは開けたままベッドに近寄って。
「ザックス、」
少し近寄って、声を掛けてみるが起きる気配はなく、しっかり寝入っているようだった。
――どうしよう。
とりあえずクラウドは困った。
ザックスだったらこんな時はたたき起こす勢いでいくのだろうけど…。
もう少しやってみても駄目だったら諦めよう、そう思って今度は肩に触れて揺り起こそうとしたところで、
「!?」
触れたザックスの体の熱さに驚いた。額に手を当ててみれば、やっぱり明らかに熱くて。
そう思ってみれば、呼吸も浅くて少し荒い。
慌てて電気をつけて、けり落とされた布団を掛けてやると濡れタオルを用意しにキッチンへ走った。
*
「…と、こんなんでいいのかな…」
氷嚢なんてないからビニール袋に氷と水を入れて簡易氷嚢でも作ろうとしていたが、
保冷材を見つけそれにタオルを巻いて持っていった。
濡れタオルで汗を拭いてやって…薬と水も準備したはいいけど、そのまえに胃に何か入れないと。
ザックスが風邪を引いたことなんて考えてみれば今まで一度もなくて、
自分が風邪を引いたときにザックスがやってくれたことをなんとなく思い出しながら、慣れない手つきで看病をする。
丸くなって眠っていたのは寒かったからなのだろう、体温を測ってみれば38℃以上もあった。
目を覚ます様子のないザックスに少し不安になりながら、
それでも目を覚ましたときに薬を飲めるように何か食べるもの――そう考えて、お粥を作ろうと再度キッチンへ向かった。
「……えっと……」
が、作ろうと思い立ったはいいもののそういえば作り方なんて良く知らない。
どうしようと考えた結果、慣れない事態に少し混乱していたクラウドの行動は、
後のザックス曰く「そこでなんでその人選しちゃったかな…」だった。
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