□■FF7

□夢ノ最果テ
1ページ/25ページ





ずっと一緒にいられると思ってた。

死んでしまうなんて考えもしなかった。

自分の腕の中で冷たくなっていくザックスの身体を抱きしめながら、願った。

これは夢だ。悪い夢…

また朝起きるとザックスが「クラウド、おはよっ」って笑っていうんだ。

――――……………………………………。

俺のせい?俺が逃げようなんて言ったから……








夢ノ最果テ








「おっさん、ありがとな!」

トラックの荷台から降りてザックスが言った。

「おう、元気でな。」

トラックの運転手に別れを言って見送ったあと、ザックスはクラウドの手をひいて
山を登っていった。

「ここを越えたらミッドガルだ。あと少しだぞ、クラウド。がんばろうな」

魔晄による中毒症状で精神に異常をきたしているため、
言ったことがどれほど理解できているのかわからないが、ザックスは話しかけた。

「う…あ・・あぁ」

なんとか返事をしようとクラウドも声を発するがうめき声にしかならない。
ザックスはクラウドの頭をポンポンとなでてまた歩き出した。


足場の悪い砂利道を歩き続け、半分くらいまでくると辺りはもう真っ暗になっていた。
きれいな三日月が空に見える。月明かりでは歩きにくくなってきた頃、
ザックスはちょっと待ってろ、というと歩くのを止め、辺りを散策し始めた。

「とりあえず今日はここで寝るか。」

ザックスが指さした場所はちょっとした洞窟のようなものがあった。
だいたい奥行きが7,8メートルに横幅5メートル、高さ2メートルといったところだろうか。
誰かが何かの目的で作ったものだろう。自然なものではない。

2人はそこで一晩過ごすことにした。
辺りに落ちていた木の枝を拾い集め、焚き火をつくると、
別れるときにトラックの運転手がくれた食料を2人で食べ、空腹を満たした。


「クラウド、ミッドガルについたら一緒になんでも屋やらないか?
 報酬次第で危険なことも、人助けだってなんでもやるんだ。
 でも犯罪はお断りだ。2人ならきっと楽しいぞー。」

「な、わかるか?クラウド……俺はお前をひとりにしないから。放り出したりしない。ずっと一緒に生きような。」

「あ・・うあ・・あぁ…」

途中から真剣な顔になったザックスにクラウドは応えた。
それをみてうれしそうにクラウドに笑いかけ、

「よし、そろそろ寝るか。明日も大変だしなぁー。」

言って、さき程つけた焚き火の横に寝転んだ。

「クラウドももう寝ようぜ〜。俺ねみ〜・・クラウドおやすみー」

表には出さないようにしても、正常でないクラウドを気遣いながらここまでくるのにはひどく労力を使う。
大分疲れたのだろう。ザックスはすぐに眠ってしまった。

クラウドはザックスが横で寝息をたて始めても座ったまま魅入られるように
焚き火の炎を見つめていた。
その瞳には、恐怖のような懐かしさのようななにか複雑な色が浮かんでいた。




.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ