□■FF7

□Once more
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エアリスが命を懸けた最期の願い、その祈りが届いて発動したホーリーに星を危機に晒していたメテオは破壊され、死闘の末、セフィロスの野望もクラウドたちの前に敗れ去った。
死を間近にしていた星はなんとか救われて、そしてクラウドはこの旅で本当の自分を取り戻した。


あれからもうすぐ2年。
世界には平穏が訪れ、元神羅幹部のリーブ、それにシドを筆頭としたミッドガルの再建も完成に近づいている。
他の仲間、ユフィとナナキは故郷へ。
ティファは最初に立ち直った7番街で再び「セブンスヘブン」を経営し、バレッドは娘のマリンとともに一緒にそこで働いている。
行く当てもないヴィンセントはシドたちのミッドガル再建に手を貸していた。

みんな目標を持ってそれぞれのやりたいことをやっている。
一歩一歩進んでいた。




なのに自分はまだ、過去に捕らわれたまま。
あるひとつの思いを抱えたまま、それでも行動に移す勇気を持てずに。



ミディールでティファと一緒にライフストリームに落ちて、そこですべての記憶を取り戻して。
自分の大部分を占める大事な人を失ったことを思い出した。
ザックスのことを忘れて、のうのうと生きてきた自分が信じられなかった。
あまつさえ、彼を擬似人格として、なんて。


それでも思い出したら、耐え難い悲しみと深い罪悪感と絶望…いっそすべてを投げ出して死んでしまいたかった。
あの時、一緒に逝けたらよかったのに、と思う。



神羅屋敷地下で植えつけられたジェノバ細胞とそれに伴う数々の実験の結果、高すぎる治癒力が備わり、簡単には死ねない身体になった。
流れるはずの時間も止まった。

心臓を取り出すか、首を落とすか…そのくらいのことをしなければ死ねない、忌々しい身体。
…いや、そうしたところで本当に死ねるかどうか。
これでもまだ人間だと言えるのか。

この先彼がいないで世界で、永遠ともいえる長い生を生きていかなければならない。



あの時のことを夢に見て、彼の名を叫びながら飛び起きることももう数え切れないほど。
目を開けて夢から覚めても、その現実は変わらない。
その度に、ザックスは死んだのだと、嫌でも思い知らされる。


あれから2年が経つのに、未だ昨日のことのように鮮明な記憶。



とても、苦しかった。

声を押し殺すように泣いて、孤独に耐えられなくて何度もザックスの元へ行こうとした。
夢でもいいから逢いたいと願った。
辛くて、苦しくて、また心が壊れてしまいそうで。



それでも仲間の前では気丈に振舞った。
知られたら向けられるかもしれないみんなの気遣うような視線を思うと辛かったから。
こんな自分のために、心配をかけたくなかったから。


仲間たちも、そんなクラウドに気づきながら気づかない振りをしていた。
見守ることしか出来ない彼らのせめてもの優しさだった。
時々家におしかけては夜通し騒いで、少しでもクラウドの寂しさが紛れたら、と。



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