□■FF7

□本の虫。
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なぁなぁなぁクラウドー。」

「・・・・・・・・・んー?」

「いつ終わんだ、ソレ?」

「・・・・・・んーー・・・」


クラウドは今、本の虫だった。

元来事務には向いていないザックスが、書類作成に時間が掛かってしまっため、なんとか終わらせて帰ってきた時にはすでに9時を回っていた。
そんなわけで、やはり今日も食事を一緒にとることはできなかったわけなのだが。

ザックスが帰って来たときからずっと、クラウドは本を読み続けている。
現在の時刻は既に11時過ぎ。


ザックスの帰宅に普段から”おかえりなさいザックスv”なんていってくれるわけではないが、今日はいつもに増してドライだった。
『クラウド、ただいまー』、といっても

『・・・・おかえりー・・・』

半分以上、上の空。
なんというか、条件反射で口が勝手に言っちゃった、みたいな。


話しかけても『今本読んでるから・・・』と流され、仕方なしに先に風呂に入った。
そして風呂から上がってからも邪魔しちゃ悪いか、とテレビを見たり雑誌を読んだりしながらザックスはザックスで時間を過ごして。


「・・・・・・・・・」


しかし、一向に終わる様子がない。

この調子だと飯だってまともに食べたか不安になってくる。
まぁ、そのへんはセフィのおっさんと違ってしっかりしてるから大丈夫だとは思うが。


どちらにしても、いい加減終わってもいいんじゃないか?
終わらずとも、キリをつけるとか。
せっかく少ない二人きりの時間なのに。

――そんなに本が好きなのか。俺より本が大事か!?

なんて、挙句に本に嫉妬まで始めて。
まぁ、本当に聞いたところで返事はあっさり

『うん』

とでも返ってくるのだろうが。


「・・・・・・」


こうなったら、とザックスは無言で行動を開始した。
ベッドにうつ伏せになっているクラウドの後ろに回りこみ、


「ま だ ?」


弱点のひとつである耳元にそっと囁く。
自分でやっていて正直気色悪いが、そこはあえて気にしない。


「―――!!?」


ビクリ、と身を竦ませて、期待通りの反応を見せてくれるクラウドにほくそ笑み。
そして次の反応を待つ。


「・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」


が。


「・・・・・・・・・・・・」


無反応。
一度反応を見せたきり、気持ちいいくらいの無反応。
一瞬こちらへ向いたはずのクラウドの意識はすでに本へ向かっていた。


―――・・・コノヤロウ。


意地でもこっち向かせてやる、とクラウドの首筋に口付けてみたり、耳をかじってみたり。
その度、刺激に対する反応は返ってくる。

それでも、肝心のザックスに対する反応は返そうとしない。
だんだん、クラウドの方にも

”なんとしても読み続けてやる”

という意地が出てきて。

なんて不毛な争い。


その間、ザックスは好き放題触りまくり。
クラウドはイラつき始め、実をいえばすでに本を読む所ではないのだが、一言”やめろ”と言ってしまえば負けのような気がして。


「……っ…」


ザックスは抵抗されない今、ここぞとばかりに楽しんでいた。
それこそ当初のクラウドが構ってくれずおもしろくない、なんて気持ちがあっさり吹っ飛ぶ程度には。
普段ならば抵抗されて当たり前、下手すりゃ蹴る殴るのお返しが来るのだ。

…まぁ、いつもというわけでもないが。
とにかく、無抵抗なんてのは珍しい。




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