□■FF7

□trick or treat?
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訓練もなく、のんびりした休みの午後。
クラウドはときおり窓から吹き込んでくる微風にうとうとしながら、ベッドの上でまどろんでいた。
同室のザックスは出かけている。
半ば強制的に居座った、あの騒がしい男がいない間のみの静かな時間。


それなのに。

「………」

突然感じた、嫌な予感。
そして、こんな時ばかりご丁寧に的中してくれる予感…もとい悪寒に切なくなる。




「クラウドーっ!いるかぁ!?」


玄関で叫ぶ悪寒の原因であるザックスの声。
言いながら玄関をあがりここへ向かっているらしく、だんだん足音と声が近づいてくる。

「……寝たフリしよ」


この部屋に、その喧騒がやってくるまでわずかに残された十数秒間。

クラウドは思わず振り返っていた顔を窓の外に戻し、ドアに背を向けた。
目を閉じて、ザックスのおかげで完全に覚醒してしまった意識を、無理やり沈める。

本当に寝られなくても、寝たふりをしてやり過ごせたら……
実に無駄な努力かもしれないが。


「クラウドー?」

中の様子を伺うように入ってきたザックスと、もう一つの足音。
当然ザックスだけだと思っていたら2人いるらしい。
ザックス足音がが煩すぎるのか、それが静か過ぎたのか。
ドアを開けるまで気付かなかった。


「ほら、いるじゃねーか。…寝てるけど。」

「あぁ。いいのか?勝手に部屋に入って」


(セフィロスっっ!?)

思わず身じろぎそうになって、とっさに固まる。
後ろから突き刺さるような視線を感じるが、たぶん大丈夫…。
気づかれていない…はずだ。

「いいっていいって。」




「それよりクラウド起きっかなぁ…。」

「なんだ、クラウドは寝起きが悪いのか」

セフィロスの「意外だ」と言いたげな声。
それに返したザックスの声は苦笑していた。

「…寝起きだけじゃなくて、寝相も悪いぜ」

(…あとで覚えてろ…)


ザックスは、苦笑しながら多少の優越感をも交えてそういっているのだが、クラウドにとってはただの恥さらしでしかない。



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