□■GIFT

□雨星
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それは手で触れられる距離の。





雨星

               



ざあ、と凄い音を立てて空から水が降ってきた。
ドドド、という擬音の方が正確かもしれない。
とにかく飛沫で前が見えないほどで、どうやって帰ろうかと思案すると久々の休日だと言うのにクラウドの気分も厚い雲の所為でもう訪れた夜のようにどんよりと滅入った。


店に入る前までは少し曇っている位で、しかもお昼頃に起きて気分で買い物に出かけた彼は天気予報なんて見ているはずも無く、当然傘なんて持って来ていなくて。

必要なものを買い、商店街をうろうろしていたらぽつぽつ降って来たので雨宿りのつもりで喫茶店に入ったが、夕立かと思いきや空はがんがん暗くなり雨の勢いは増すばかり。
泣きじゃくる空になす術も無く、溜息混じりに「参ったな…」とひとりごちた。

頼んだ紅茶が運ばれてきて、それをちびちびと飲みながら少しうんざりした表情を浮かべて窓の向こうを眺めていた。
そんな時に隣のテーブルの「台風来てるんだってさ~」という会話が聞こえてぎょっとした。

今日、と言うよりここ数日天気予報見て無かったようだ。


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