□■GIFT

□君と空と海と夏の
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「なぁ、どっか行かないか?」







君と空と海と夏の




何の前触れも無く、何の前置きも無く切り出した話にしては意味不明だと思う。

だからと言っては何だが、もちろんすぐに彼から肯定的な答えが返ってくるなんて思っちゃいない。

それでもあえて主語も目的語も付けずに言う。

きっと彼がこう返すから。





「…はぁ?」





ほら、やっぱり。




夕食に彼を招いて、久々に手の込んだ料理を振舞った。

なんせ明日から二人とも結構長い休暇が入る。

夕飯の準備に時間が掛かったって夜遅くまで飲み明かしたって全然構わないってわけだ。

(まぁ未成年と一緒には飲まないけどな)



「どっか行くったってそれいつの話だよ?どこに何しに行く訳?」



「休暇が重なってる時の話に決まってんだろ?一緒にあそびにいこーって言ってるんだよ。」


クラウドは求めている答えが返ってこない、というのがありありと分かる顔を作り(わざとかと思うほどだ)

持っていたほうじ茶をテーブルに置いて溜息をつく。



「何処に?」



あんまりに行動がいつも予想通りなもんで、思わず笑いそうになるのを、


うーん、とか適当に言いながら考えているフリをして視線を斜め上にそらすことで回避する。





「森?とか海?」


「いちいち疑問系にするな」


「とにかくアウトドアっぽい所で」


「訓練だけでもいつもサバイバルしてるじゃんか…」


少し冷めた様な瞳で野性に帰りたいとか?とか聞いてくるので

何でそうなるんだよ!とテーブルを叩いて思わずオーバーアクションで返してしまった。




…折角暖かく(むしろ暑く)なってきた訳だからさ、と

頬杖を付いてなおも「ツチノコ探しに行くとか言うなよ?」

とか言ってくる少年の台詞を遮る。




っていうかそんな夢いっぱい空想少年やってねぇって。




まだネタが残っていたらしくちょっと口元をゆがめてこちらを見てくる金髪少年に

素直に考えを明かした。





「海とかで小麦色になればモテるかもだぜ?」





ぐっと親指を立てて。

なるたけさらっと爽やかにだ。




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