駄文2〜グラビonly〜

□It Is On My Side 2
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瑛里Side

「ただいまぁ」

「おかえり」

成美は疲れた様子で、リビングに入って来た。
俺は黙ってソファーに座っている。

「今日はリハーサルだったわ。昨日もこの話したわね…。あなた?聞いてるの?」

黙ったままの俺を不審がり、様子を伺うように、向かい側のソファーに成美も腰掛けた。

「ソレを……」

俺は机の上に準備した紙切れを、さらに成美の前と差し出す。
「……何かしら、コレ」

その紙に視線だけ向けた成美は、冷たく言い放った。

「離婚届けだよ」

「私の…印が欲しいの?」

そうだ。
だって、俺の欄にはもう署名も印鑑も押してあるのだから。

「……断るわ。離婚する気はないから」

「成美…俺は、」

「あなたに、好きな人がいることくらい分かってるわよ。…けど、離婚はしない。だって私、あなたが好きだもの」

成美はそう言うと『お風呂に入る』と言って、リビングを出て行った。

「はぁ」

ため息と共に鳴ったのは携帯。
この着信音は愁一だ。

ピッ…

「もしもし、どうした?」

『ぁ…今日、来るの?』

「ああ。今から行く」

『そっか、わかった。待ってるね』

ピッ

『待ってる』か…。
いつか、待たすのを止めて、俺が家で待っていてやりたい。
そう真剣に思っているのに。
俺は準備を軽く済ませると、玄関に向かった。
携帯を忘れていたのに気付くことなく。











成美が風呂から出ると、瑛里はそこにいなかった。
あったのは、瑛里の携帯。

「……忘れたのかしら」

携帯を手にとると、ランプが点滅していた。
どうせ浮気相手だろうと確信しながらも、携帯を開く。
ランプの点滅の原因は、留守電が入っていたからだった。
着信の相手は、

「新堂愁一くんからだわ」

仕事のことだろうか。
浮気相手ではないことは確信出来たが…。
成美の見解としては、愁一はただの瑛里が浮気するためのカモフラージュだった。
きっと瑛里に利用されているのだと、そう考えていたのだ。
けれど、急用なら大変だと思った成美は留守電を聞いた。

ピッ

『お預かりしたメッセージは1件です。

ピー…

あ、愁一だけど。ウチに来る時に、牛乳とビール買ってきて?牛乳はいつものだよ!よろしくね

ピー…』

携帯を耳から離す。
成美は不思議に思った。
なぜ他人に関与したがらない瑛里が、愁一の飲む牛乳のメーカーまで知っているのか。
まるで、夫婦のようなやり取りの会話ではないか。

「………まさか…」

成美は行き当たった1つの考えに、愕然と立ち尽くしていた。



END...
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