駄文2〜グラビonly〜

□アナタを愛すということ
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外は台風だった。
土砂降りの雨。
雨戸をぶち抜くかのように強い風。

「外、すごいなぁ」

愁一は少しだけ雨戸を開け、外を見ていた。
瑛里も愁一も久々に暇が合った日で、買い物にでも行こうかと計画していた。
が、生憎の台風。
外に出られたものではなかった。

「あんまり開けるなよ」

「うん」

瑛里は暇を潰すつもりで、キッチンに立ち、ケーキを焼いている。
愁一も手伝いたいと言い出したが、瑛里はそれを拒否した。

「ねぇ〜由貴」

「…ああ?」

「何か、久々だよね?こんなにゆっくりしてるの」

「そうだな」

愁一は雨戸をきちんと閉めて、大きな伸びをする。
瑛里は、ケーキの型を並べて、少しの休憩をとることにした。

2人でソファーに腰掛けたのは、何日振りだろうか?
愁一はさり気なく、瑛里との距離を詰める。
瑛里が何も言わないのを確認すると、愁一は思いっ切り、瑛里の隣に座ってみた。

「…なんだよ?」

「あ、甘えたいなぁ……な〜んちゃってね!」

愁一は少し恥ずかしさを感じ、瑛里から離れようとした。

「愁一」

そんな愁一の腕を掴み、自分に引き戻す。
瑛里の体に密着するほど倒れ込んだ愁一は、瞳を潤ましていた。

「……愁一」

瑛里の整った唇が、愁一の唇に重なる。

「由貴…オレ…」

ピンポーン…ピンポーン…

「……客だ」

甘い雰囲気が崩れ、瑛里は不機嫌に立ち上がり、玄関に歩き出す。

「ゆきぃ〜」

「うるせぇ!!」

「もう!誰だよ!こんな台風な日に!」

愁一もムカムカと腹立たしくなり、一緒になって、玄関に向かって行った。



 
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