駄文2〜グラビonly〜
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『歌手の新堂愁一さんと、女優の坂口真奈美さんが、なんと!!深夜のホテル街を歩いているところを写真に納められました!新堂さんと言えば、作家の由貴瑛里さんとの交際が……』
テレビなんか、ましてやワイドショーなど、あまり見ないオレ。
タイミングの悪さには笑えてくる。
別に…信じちゃいない。
こんなワイドショーネタは、恋人のいる世界では多い話だ。
「……なにしてんだ、あのバカ」
コーヒーを口に運んでみても、味が分からない。
焦っているのか?
プルプル…プルプル…
突然鳴った電話に一瞬だけビクついた。
ガチャ
「はい」
『由貴!?オレだけど、あの…テレビ…見た…?』
テレビってこのワイドショーが取り上げているモノのことだろうか?
「テレビ…がどうした?」
『あ、見てないなら、良いんだけど』
そう愁一は電話の向こうで空笑いした。
「おい、浮気者。今日は晩飯はどうするんだ?」
何気ない会話に『浮気者』と言う単語を使えば、愁一が息を飲む音が鮮明に聞こえた。
『やっぱ、見たんだ?えっと、あれは違うから!誤解しな…』
「分かってる」
『え…?』
「分かってるから…。仕事中だろ?仕事に集中しろ」
分かってる。
ちゃんと理解してる。
コイツはオレだけだから…。
「……」
『ぁ、ああ…由貴!今日は帰れないから。仕事が…あって』
「そうか、分かった。じゃぁな、浮気者」
『浮気者じゃないってば!オレは…』
ガチャ
愁一の言葉を最後まで聞くことをしないで、電話を切った。