駄文2〜グラビonly〜
□リング−嫉妬=独占欲
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入ったのは高そうなジュエリー店。
「…買ってやる」
「へ…?」
「リング…選べよ」
目を丸くしたのは愁一の方。
不機嫌に命令したのは瑛里の方。
「選べって言われたって……急にどうしたんだよ?」
「いらないのか?」
「そりゃ、欲しいけどさ…」
愁一は不服そうに呟く。
仕事から帰って来て、外食に連れて行かれ、次は強引にジュエリー店。
あの由貴瑛里がどういう風の吹きまわしだろうか。
「なら選べよ」
そうキツく言った瑛里は、ショーケースの前に愁一を突き出した。
「あんた、今日ヘンだよ。やっぱ、何かあっただろ?」
愁一はどうしても今日の瑛里の行動が気掛かりで、その疑問から抜け出せない。
瑛里は眉間を寄せ、物言いたげに口を開けたが、すぐにそれをやめてしまった。
「何もねぇって言ってるだろ。何回も言わすな猿!」
瑛里は絶対に言いたくなかった。
部屋にある『指輪』が大切な物なのか、誰にもらった物なのか。
聞いてしまえば、何ともない解答が返ってくるのだろう。
けれど口にすれば、この瑛里の中で渦巻くモヤモヤの正体が愁一にバレてしまいそうで。
プライドの高い瑛里は、バレることだけは避けたかったのだ。