駄文〜グラビ・テニプリ〜

□大事なこと
1ページ/3ページ

『あんた、新堂愁一?』

そう言われて普通に頷いたのは、芸能人として失格だったと、今更ながらにオレは思った。





「あんたねぇ…ムカつくのよ!」

オレより少しばかり背が高い女は、オレの胸ぐらを掴んで言った。
もちろんオレには、見覚えなどない顔だ。
『ムカつく』なんて言われる覚えも、全くない。
あるとするば…恋人の由貴瑛里絡みだと思う。

「放せよっ」

オレも男だから、力的には、オレだって、この人に勝てる自信があった。
けど、何であれ、女の子に手を出すなど、オレには出来ない。

「苦しいって!」

いい加減、息も苦しくなってきた。
少し強く言ってみると、その人は泣いた。

「私は…私は…。瑛里を愛してるの!そして瑛里も私を愛してるわ!」

「へ?」

あまりの言いぐさにオレは間抜けな声を上げた。

「私たちは愛し合ってたのに、それをアンタが!!」

オレの表情に更にイライラしたのか、女はオレを叩こうと手のひらを高く上げた。
オレは予想できる痛みに目をギュッと閉じた。

「……あれ?」

いくら待っても来ない衝撃に、オレは片目を開いた。



 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ