駄文〜ナルト〜

□呼んでほしい
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耳につく、足音。
忍者なんだから、少しは足音に気を付けなきゃダメじゃない。

「せ〜んせ!」

でも、足音がしなくたって、お前の存在なら分かるよ。

「…ああ、ナルトじゃない」

「…、……先生、何してるってば?」

「読書だよ」

「そっか……」

ナルトは最近、俺によく話しかけてくる。
大した用もないような事とか、分かりきってる事とかも聞いてくる。
まるで……。

「……、昨日、先生は何食べたってば?」

「昨日は、ラーメン」

「ラーメン!?オレも食べたかったのに〜!!誘ってくれても良かったってばよ」

「ごめ〜んね」

「…ぁ…朝は何時に起きたってば?」

まるで…、俺と会話がしたくて、話題を探してるみたいだ。
な〜んて、都合の良すぎる解釈。

「9時だよ」

「そっか……」

「うん」

「………」

「………」

「………」

黙っちゃった。
ナルトはいったい何がしたいんだろう?

「…先生、」

「ん〜?」

「オレ、」

「?」

「……やっぱり何でもないってばよ」

「……ねぇ、お前何がしたいの?」

「え?」

「言って?先生、怒んないから…」

そう、怒らないよ。
ナルトのことなら、何でも聞けるし、許せるよ。
…惚れた弱みってヤツだな。

「…でも」

「お前の言うことなら、先生、何でも聞いてあげるから…ね?」

だからナルト、そんな苦しそうな顔しないでよ。

「……先生、」

「ん?」

「…呼んで」

え?
呼んで…?

「ナルトっていっぱい呼んで」

「ナルト…ナルト、ナルト」

ああ…こんなにお前の名前を呼んだら、お前が溢れそうになる。

「ナルト、名前…呼ぶだけで良いのか?」

「っ……、名前呼んで、スキって言ってほしい…抱きしめてほしい…キスしてほしいってばよ」

なぁ、ナルト。
これは俺の都合の良い解釈?

「ナルト、スキ」

俺はナルトをギュッと抱きしめて、軽いキスをした。
ゆっくり、体を離すと、ナルトは泣いていた。

「先生、ありがとうってばよ!」

涙目を擦って、ニコッと笑い、逃げるように駆け出す。
待ってよ…。
逃げるなんてあんまりじゃない?
やっぱり、俺の都合の良い解釈なの?

「ナルト!!」

走って行くナルトが足を止めた。

「ナルト、…

「ん、…ふっ…ンン」

「はぁ、はぁ」

唇を放すとナルトが、真っ赤な顔で息を切らしていた。

「ナルト、俺の言うことも聞いてくれる?」

「先生の?」

「名前呼んでほしい…。生徒としてじゃなく、恋人として…。ダメ?」

イチかバチか。
どうか…俺の解釈が正しいように。

「カカシ…カカシ、カカシ」

「ナルト、ナルト…ナルト」

「「…好き…」」



END...
 

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