駄文2〜グラビonly〜

□アナタを愛すということ
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ガチャン…

「……」

ドアを開ければ、そこにいたのは、愁一の見知らぬ女。

「……いれてくれない?」

女はずぶ濡れで、頬が赤く腫れていた。

「瑛里…お願い」

どうやら、瑛里の知り合いだったらしいが、瑛里はあまり良い顔をしなかった。

「他に…アテがなかったの」

瑛里は何も言わない。

「由貴…何かよく分からないけど、知り合いなら、入れてあげたら?」

女は泣きそうだった。
そんな女を愁一はほっておけない。

「…ありがとう」

女は震える声で、愁一に言った。

「勝手にしろ」

その言葉を愁一は聞くと、バスルームへタオルを取りに走る。

(一体、誰なんだろう?)

誰なの?とは聞けないまま、愁一はお人好しな己の性格にため息が出た。



 



「どうぞ」

「ぁ、ありがとう…ごめんなさいね」

タオルを渡せば、弱々しく答える。

「あの、頬…大丈夫ですか?氷持ってきましょうか?」

愁一は優しく声を掛けたつもりだったが、女はビクリと肩を揺らした。

(ぁ…血が出てる)

よく見ると、腕や足にも生々しい傷跡や打撲のあとがあった。
唇の横は切れて血が滲んでいる。

「それ、どうしたんですか?」

「おい!愁一」

今まで黙っていた瑛里が愁一に黙れと促した。

「いいのよ、瑛里。私…凄く好きな人がいるの」

愁一は黙って聞いた。

「その人から………DVを…受けてるの」

(DVって…)

「でも、好きなの。愛してるのよ…」

瑛里が大きなため息をつくのが聞こえた。

「…落ち着いたら、出て行くから」

彼女は、そう言うと、少し眠った。



 
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