駄文2〜グラビonly〜

□手にできるのは天才のみ
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「ただいまぁ〜」

兄に言われた通り、大人しく夕飯を食べ、食器もしっかり洗い、帰宅した樹把。
けだるげに帰宅を告げると、女の声が降ってきた。

「高校生にしちゃ、随分な時間の帰宅ね…樹把」

「ゲッ…姉貴!」

その瞬間に樹把は、姉の美香に頬を抓あげられた。

「っい…痛てぇー!!!」

「『ゲッ』とは、何よ?アタシじゃ嫌なわけ?」

それから樹把は何回『ごめんなさい』を繰り返したことか、本人すら分からない。

「まぁ良いわ。遅くなる時は連絡しなさいよ……心配するから」

「はい、ごめんなさい」

美香の心配した様子に気づくことは樹把にはなかった。
この鬼のような姉には、幼い頃から幾度となくやられてきた。
高校になった今でも変わらない気がするが、それでもそれは美香が弟を愛しているからであった。

「ったく、いつか女に刺されるわよ」

「女の子の所じゃねーよ。兄貴ん所で飯食ってきただけ」

「あら…そうだったの」

樹把は頷く。
そして思い出したように美香に問い掛けた。

「姉貴さ、瀬口さんが姉貴のもんじゃねーって感じたことある?」

「……はぁ?」

「あ、兄貴がさぁ…愁一が自分のものじゃねーみたいなこと言ってたからさ」

美香は目を見開いた。
樹把は悪い事を言ったのかとビクッとしたが…。

「あの子がねぇ…そんな事を」

美香は一人で納得したように笑った。

「どーいう意味だよ?」

「フフッ…あんたも、いっちょ前に恋愛出来るようになれば、分かるわよ」

「何だよソレ〜!教えてくれよっ、お姉様ぁ」

「はぁ……つまりBadRACKの『新堂愁一』は瑛里の物にはならないって事よ」

樹把は『ふーん』と言うと、つまらなさそうに考えて、美香に答えた。

「そっちの『愁一』だって、兄貴が一言言えば、簡単に物にできるのにな」



 
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