駄文〜グラビ・テニプリ〜
□「好き」
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前は沢山の中の1人でも平気だった。
いつから自分は特別だなんて思ったんだろ。
由貴から直接に告げられた事なんかなかったのに。
「愁一…。行くな」
「何でだよ!?」
「お前は…。お前は…特別なんだ」
「はぁ!?特別?ただ一緒に生活してるだけじゃん。気持ちもそこら辺の子達と何だ変わりないないだろ!?」
由貴の俺の腕を掴んだ手に力が入ったのが分かる。
「バカかお前?お前が他と一緒なら、出て行くのを止めたりしねぇよ」
「本当に特別なら…。頼むから、俺だけを見て!他の子を見ないで、俺だけ見て」
「愁一」
名前を呼ばれた瞬間、俺は由貴に抱きしめられた。
好きで好きで…。
頭が変になりそうだ。
「ねぇ…好きだって言って。一回だけで良いから…」
「……」
「由貴。俺…不安で死にそうだよ!せめて今だけ好きだって言って…んっん…」
突然の深いキス。
いつも由貴はこれで俺をはぐらかす。
今の俺の台詞も、この深い深いキスで消されてしまう。
「好きだ」
「!?」
「好きだ。愛してる」
はぐらかされなかった。
初めてだ。
「頭が変になるくらい好きだよ、愁一」
「ぅっ…うわぁーん!!」
「おいっ!泣くなっ」
由貴は大声で泣き叫ぶ俺を抱きしめた。