駄文〜グラビ・テニプリ〜
□無自覚なjealousy
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「あの、これご迷惑でなければ愁一に渡してもらえませんか?」
そう言って彼女は俺に紙袋を渡してきた。
中には薄いピンク色の可愛らしいケーキが入っていた。
「それ私が作ったんです。愁一、苺のポッキーとか好きだったから、それをヒントに。愁一は、今も苺のポッキーは好きですか?」
「…好きだよ」
一瞬、答えようか答えまいか迷った。
いや、教えたくなかった。
「良かった!そのケーキのクリームは、ストロベリーで作ったんです」
ニコニコと話す彼女はアイツの何だったのだろうか?
「君は…新堂君の事をよく知っているね。幼なじみか何か?」
「あっ…えっと。その……元カノです」
少し恥ずかしげに答えているようだが、一瞬だけ挑戦的な瞳をしていた。
「へぇ。新堂君はこんな可愛らしい彼女がいたんだぁ。羨ましいなぁ」
猫かぶりな俺。
別に焼いてるわけじゃない。
ただ少しイライラする。
「このケーキ、きっと新堂君は喜ぶと思うよ。最近、仕事が忙しくて、疲れが溜まってるみたいだから甘いモノとか丁度イイよ。ありがとう」
嫌みったらしく言ってるつもりはなかった。
なのに彼女は苦い顔した。
それがなぜかスカッとして気持ち良かった。
「そろそろ会計しよう
かな?新堂君が帰宅する時間だから。悪いけど、この2つのケーキも持ち帰りで」
「あっ……はい。わかりました」
彼女は複雑な表情を浮かべたものの苦笑いで俺に応える。
その場で食べるつもりだったケーキも箱にいれてもらい会計を済ませた。