駄文〜グラビ・テニプリ〜

□想い写真
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「……」
「………」
「…………」
無言で先輩は飾られている写真に目をはる。
何が良いんだかさっぱり分かんない。
先輩は真顔で、俺なんか目にも入れてくれない。
「………」
つまんない。
何がそんなに楽しいのか。
「……」
「……先輩」
「……」
「先輩っ…。ねぇ…」
全く俺の声を聞いていない先輩の袖に触れてみた。
これでも気付かないなら…俺、帰る。
「先輩」
「え……何?越前、どうした?」
「…つまんない」
ふてくされた顔をワザと先輩に見せ付ける。
「ああ。ごめんね?」
それだけ言うと、またスタスタと写真を見て回り始めた。
「……」
ただ変わったのは、手を繋いでくれた事。
たったそれだけで、さっきまでのつまらなさが余所へ行ってしまった。
「もう最後の写真だからね」
先輩は優しい声色で俺に言う。
「見てごらん、越前。この写真が、この集められた作品の中で一番だと評価された作品だよ」
先輩が言う最優秀賞の写真には、草原の上に寝転がっている少年写真だった。
「これって!俺っ!?」
「クスクス…。これ、僕の作品なんだよ」
顔は写っていないが間違いなく俺だ。
一体いつの間に撮られたんだか。
「先輩、こう言うのって。盗撮って言うんスよ」
「え"?」
先輩の顔が強張る。
俺はクスクスと笑って先輩と繋いだ手を引いて美術館を出た。
「越前っ怒ってるの?」
先輩は不安そうに俺に尋ねて来る。
俺はワザと先輩を無視して怒ってるように見せた。
本当は怒ってない。
むしろ嬉しかった。
先輩の作品の下には選考理由が記してあり、
【この作品は、優しさと愛情が程よく交差させてあり、心暖まる物】
この選考理由で、先輩が俺の事を思ってくれていると言うのが分かった気がしたから。
だから、すごく嬉しくて、また2人で写真を見たり、撮ったりしても良いかなぁって思った。





end...
読んでくださりありがとうございました!!
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