駄文〜グラビ・テニプリ〜
□君がいて…
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カタカタカタ…
規則正しいキーボードを叩く音。
瑛里は画面の中で繰り広げられるラブストーリーに悩みを抱えていた。
なかなか進まない物語。
いったいどう話を進めるか…瑛里は溜め息混じりにコーヒーカップを口に運んだ。
一週間後に500枚の原稿と言いつけられているのに、今の時点で、たったの180枚しか書いていない。
「…ヌルい…」
コーヒーはとっくの昔に冷めてしまい、お世辞でも旨いとは言えない物になっていた。
「……入れ直すか」
座りっぱなしで重く感じる腰を椅子から起こす。
ふと目に留まったアナログ時計は23:32と示していた。
「アイツ、実家に顔出すって言ってたな…まだ帰ってないのか?」
思っていた帰宅時間より遙かに遅い時間。
いつもならドタバタと鬱陶しい位の声で帰宅を知らせると言うのに。
瑛里は携帯を覗いてみたが、愁一からは何も入っていなかった。
「連絡くらい入れろ、クソガキ…」
瑛里は悪たいを吐きながら、コーヒーを入れるため書斎を出た。