駄文〜グラビ・テニプリ〜
□無自覚に君を愛す
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「どうしたんだヒロ?」
「え…ぁ、あのな愁一。実は…」
ヒロ君が愁一に何かを告げようとしたが、それは綾香さんによって遮られた。
「あっ!!ここですわ!このケーキ屋さんです」
車の中で乗り出すように綾香さんが言った。
指差す方を追ってみると……。
最悪だな。
目に映る店は例の店だった。
「うわぁー可愛い店」
興味津々に愁一も身を乗り出す。
「早く行こっ!!」
愁一は車のドアを勢い良く開けて出ようとした。
「っ…由貴?腕痛いんだけど」
「あ?…ぁあ、悪い」
とっさに愁一の腕を掴んで引き留めてしまっていた。
会わせたくない。
別に彼女に会わせた所で何かが起こるなんて考えちゃいないけど。
「……駐車してくる」
「じゃぁ先に行きますわっ」
ウキウキの綾香さん。
ヒロ君の手を引きながら、行きましょう?と言った。
2人が車から下りるのをバックミラーで確認する。
「……おい…」
「待ってる。一緒にお店に行こうっ」
明るく言う愁一が、何か気に障った。