駄文〜ファインダー〜
□嫌な男
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「来い」
いつものように高級感溢れるスーツに身を託した麻見が立っていて、いきなり腕を強く引かれる。
ここは安い価格でお酒を飲めるバー。
なんで場違いな男がここにいるんだよ。
やっぱり誰かに監視されてんのか!?
「離せよっ!痛いって、麻見!」
「あの男は何だ?」
「は?あの男?」
「さっきのお前の手を握っていた男だ」
「あれは友達!ってか、どこ行くんだよ!友達と飯食ってたのに」
そう言うと麻見は、眉間にシワを寄せて難しい顔をした。
いったい何なんだ?
「クリスマスはどうするんだ」
「…あのさ、もしかして嫉妬してんの?」
なーんて。
俺の事を都合の良い性欲処理具にしか思ってないような男だ。
そんなことあるわけねーよな。
「そうだ」
ってアッサリ肯定!?
「お前…いい加減に俺のモノだという自覚を持て。それとも、首輪をして鎖で繋がなければ自覚がもてないか?」
「お、俺はアンタのモノなんかじゃねーよ!」
「…じゃぁ何だ。『恋人』だと言えば納得か?」
麻見は鼻で笑う。
その態度がかなりムカつく!
「しらねー!」
俺は無理やり腕を振りほどくと、麻見に背を向け歩き出した、
顔を見なくても男が、嫌な笑みを浮かべているのがわかる。
俺はなんでこんな男の事を…。
「高羽!クリスマス空けとけよ」
…本当にムカつく!
嫌な男だ。
「俺、21時まで仕事。多分めちゃくちゃ疲れてる。だから、それが吹っ飛ぶくらいのクリスマスにしろよな!」
「わかった、努力しよう」
「ちなみに、俺は絶対にプレゼントなんか準備しねーから!」
それだけ言うと、俺は駆け出した。
なんか自分で言っておいて、少し恥ずかしい。
でも、クリスマス…楽しみだ。
end...