短編集

□Mellow-メロウ-
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ここは東京23区内―――


時刻からして夕方だろう
駅やバス停はサラリーマンやOL、学生達で溢れかえって、部活から家に帰るであろう学生もわんさかいる

そのなかで制服を来た2人の男女が手を繋いで歩いていた

男性、否少年の名は「井上 圭一(いのうえ けいいち)」、少女の名は「高橋 瑞貴(たかはし みずき)」という

2人は付き合い始めて6ヶ月がたつ恋人同士だ

帰り道、今日起きた他愛ない話をしながら、瑞貴の家まで2人で帰る。


「送ってくれてありがとう、また明日ね!」


瑞貴は笑顔で手を振り、家の玄関へと入っていく


圭一も瑞貴に手を振り返すと、自分の家路へと帰ってゆく


「(今日も疲れたなぁ・・・。)」



実は圭一は瑞貴と別れようかと考えていた

喧嘩をしたとかお互いが不必要になったとか特別な理由はない
ただ、所謂「フリー」な状態に戻りたかったのだ。

瑞貴はどちらかといえば真面目でお嬢様タイプの子だった。その真面目さが、圭一にとっては重く感じてしまっている。

でも、1年もたたない内にいきなり別れを告げると、瑞貴が理由を問いかけることは目に見えている。

正直に答えると、それこそ瑞貴を傷つけてしまう。

圭一は帰り道ずっとそのことを考えていた
しかし、答えは出るはずもなく、いつも相談相手にのってもらっている者に電話をかけた



「もしもし?」

「あぁ、みさお・・・相談なんだけど・・・。」

「何こんな時間に?」


相談相手の名は「渡辺 みさお(わたなべ みさお)」という

彼女は瑞貴とは逆に活発でどこか男らしい子だった

入学当初から圭一とは音楽などの趣味が合い、意気投合し、仲良くなった。
圭一にとって女友達のような男友達のような、そんな存在だった。
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