第二章
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カタカタカタ...
カチカチ....
ホテルの一室で、Lは六軒島関連の情報を隈なくチェックしていた。
Vからもらった当時の捜査資料からして、六軒島は屋敷付近以外は、自然をそのまま残しているようだ。
ぱらぱらと資料をめくる。
そして、気付く。
「…誰が写真を載せた?」
論理的にも、物理的にも、この捜査資料自体がありえない事。
だがLは、更にありえない点に今更気付いた。
写真を現像なら、伊豆警察署でしか不可能だ。
更にありえないのは、ここまで鮮明なカラー写真。
1986年頃には、ここまで鮮明な写真が撮れる機材などなかったはず…、それが鑑識が使うようなカメラだとしても、ここまで鮮明には映しだせない。
「死体はどうした…?」
また謎が出てくる。
現場捜査官の手記には、“皆で迎えの船を待つ”“迎えの船が来た”としか書かれていない。
――まさか置いたまま?
何故、激しく顔面を損傷させられている死体が、誰だか解ったんだ…?
ビービービー...
「はい」
『伊豆警察署ですが、お探しの木下敬と言う方は、1986年までを調べた所、当署には居ません』
「そうですか…、ご協力ありがとうございました」
現場捜査手記を書いた木下が居ない?
事件のあった1986年以前にも、伊豆警察署には存在していなかった。
――ありえない。
戸籍を探したが、伊豆市役所には木下敬の戸籍が無い。
Lは警察長長官へと、回線を繋ぐ。
ビービー...
『はい…』
「Lです」
重々しい声で、通信に出たのは、警察長長官だった。
「長官、再度お聞きしますが、六軒島大量殺人事件の時の被害者は、右代宮家で18名、伊豆警察署員18名、事件現場に居る捜査員達を迎えに言った4名、合計40名で間違い無いですか?」
『………………………』
やはり隠し事があったか…。
余程日本警察は、六軒島に関わりたくないようだな。
そんな事を思いながら、Lは長官の言葉を待つ。
『…隠していた訳じゃ…ないんだ、L』
「教えて下さい、日本の警察の六軒島大量殺人事件について、まだ私に話してない事全てを」