小説

□『キリトリ線シンドローム、3切』
1ページ/3ページ

高杉晋助は、死人らしい。


そんな馬鹿げたような噂が広まった。
というか既に学校中に広まっている。

きっかけは、登校二日目。
その日、登校してきた高杉は
別人となっていた。
口の端に二つピアスが並び、
その端の一つが
左耳にある高そうな蝶のピアスに
キラキラ光る、
ビーズのようなもので繋がっている。
更に左耳に蝶のピアスを含めた四つと
対照的に右耳にも四つ
シンプルなデザインのピアスが
ついている。

その顔で登校してきたのだ。
もちろんクラスの皆も
先生方も先輩方も絶句したに違いない。
朝のHRが終わると当たり前だろうが、
高杉は担任に呼ばれた。
廊下に連れ出された高杉は、
担任の説教とも言える注意を受けた。
ピアスは没収されるらしい。
全部外して渡しなさいと担任が言うと
高杉は右耳のピアスを掴むと、
躊躇うことなく引きちぎったのだ。
そして、
次々に四つあるピアスを引きちぎり、
更に左耳と口のピアスを引きちぎった。
それを丁寧に全て集めると
担任に差し出していた。



ものの数分の出来事である。



- - -8<- - -
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ