小説

□妖語-アヤカシガタリ-『しんすけキャットC』
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自分の前を沖田が
自分の後を高杉があるいた。
あの場所で立ち話なんて
軽いことではないので移動中。

屯所から離れて数十分。
歩いて移動するには、
少し長い距離だった。
スクーターで行けば良かったと
素直に思った。
けれども、三人乗りなんて
大道芸みたいなことをしたことなかった。
そしたら結局は
歩くはめになっていただろうと気付くと
自然に溜め息が出た。


『幸せが一つ逃げやしたね?旦那』


と、沖田。
まさか沖田なんかに
言われるとは思わなかったので
ショックを受けた。
『だから、天パなのかァ?』


と、高杉。
嫌みな笑みを見せながら言った。
いや、嫌みな笑みを
浮かべているに違いない。
振り返らずとも気配で分かった。


『コイツは、最初から最期まで
一度たりとも幸せなんてものを感じずに
死んでいくんだろゥ』

『なんで決めつけてんだよっ』

『決めつける?馬鹿言うなァ……。
これは決定事項だァ』

『拒否権は無しか!!』


自分が振り返り叫ぶと
高杉はニヒルに笑っていた。
昔から嫌みな奴ではあった。
何か要らぬところまで
成長しているようだった。



!!!
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