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□oh.darling'love is you!
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(私をそこへ、閉じ込めて)

宵 闇 に 酔 う(すべて包み込まれたい)



この世界に来てから、空を見ることが多くなった。
時刻を知るためっていうこともあるけれど、それ以外にも。
特に夜は、空が見たくなる。

「おお・・・」

人工発電ではない光。
もちろん、彼岸のあの光もすごいなとは思うけれど(同時に、なんて無駄遣いとも思う)、この世界の光はもっとすごい。
漆黒に包まれながら光るそれは時が経つのを忘れるほど。
だけどあまり外に長居していると、俺はよく怒られる。

誰に、って云うと。

「おいこら、鴇!」
「あ、篠ノ女ー」

どたどたと歩いて来る篠ノ女に、だ。

「あんだけ寒い寒いって言ってるから、わざわざ布団借りてきてやったんじゃねえか」
「わーい、ありがと!」
「ありがと、じゃねえ。 寒いくせに外にいたら風邪ひくぞ、現代人代表軟弱少年」

自分もじゃんか。
そう言いたかったけれど篠ノ女は体力以外は俺より秀でているのでつっこみようがなかった。ああちくしょうかっこいいなあ篠ノ女。

「ほら、もう寝るぞ」

投げて寄越された布団を多少よろけながらキャッチ。
立ち上がると、くしゃりと頭をなでられた。

こうやって、触れられるのは、好き。

狭い長屋で横になった篠ノ女をじいっと見つめていると、なんだよと額を弾かれる。
痛い。
拗ねたふりでそう呟くと、篠ノ女はいたずらっ子みたいに笑って悪かったと打って変わって優しい手つきでそこに触れる。

「・・・ね、しののめー」
「なんだ」
「寒いよね」
「・・・お前はあれか?俺の布団まで奪っていこうとしてるのか?」

うう。鈍感め。
でもそこも好きだから仕方ない。

「違う。温まりたいな、ってこと」
「・・・」
「俺篠ノ女と温まるの好き」

少しだけ身を乗り出して、上目づかいで言ってやれば籠絡完了。(この攻め方を梵天に言ったら、子悪魔めとののしられた)






灯りを落とした、薄暗い長屋。
かすかに漏れくる月の光の中で、篠ノ女の柔らかい髪を手さぐりでなでる。

「・・・鴇?」
「しののめ、の かみのけ、すき」

さっきまで見ていた、夜空みたい。
優しく、包まれてる気になる。

「しののめの、ぜんぶ、すき・・・」

その全部で俺を包んで。
離さないで、はなさないで。
いつか俺が星のように流れて消えていってしまう時が来ても。


「俺が死んだら灰にしてそのすべてを飲み込んでね」

ずっとあなたに包まれていたいから。



「すげぇ殺し文句」


吐息ごと奪うような口付けにすら。




おしまい。


びえろす紺鴇。鴇は誘い受け!もしくは襲い受け。




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