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□ひどく曖昧に
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2.ひどく曖昧に、
昶くん。と、呼ばれて振り返ればいつだってアイツは笑っていて。
手を繋ぎましょう。
ぶっ飛ばすぞ。何をいきなりそんないい笑顔で言ってきやがる。
いいじゃないですか。
いいわけねえだろ。頬をふくらますな、気持ち悪い。
だめですか。
・・・その顔は卑怯だ。周りに人がいないのを確認してから舌打ち。
ありがとうございます。
二コリ、と笑うその笑顔も、胡散臭いといつも思う。
こいつの笑顔はいつも、どこかしら壁があるようにしか思えてならないし。
劉黒に向けていた笑顔も、そうだったのだろうか?(それとも、彼に俺を重ねてるだけなのか)
白銀、
(情けないくらい)ひどく拙い声で名を呼ぶと、はい、と返事をしたそいつの笑顔は。
なぜだか泣きそうな、それでいて懐かしいものを見るような、曖昧な笑顔、だった。(気がした)
おしまい。
何だか昶は毎回片思いですね…(´・ω・)