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□貴方を好きと言ったのは
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「好きだよ」

唇をかみしめながら言う言葉ではないだろうに、と。
彼の細い手首をシーツに縫い付けたまま白銀はおぼろげに思う。
好きだというなら、どうして。
そんなふうに、何かを堪えたようにいうのか。

「あきらくん」

背けた顔を前髪が覆い隠して、彼の表情が分からない。
こっちを向いてくださいと、囁いても。
いやだ、と突っぱねられる。
言動と行動がちぐはぐだ。
白銀が小さく息をつくと、ぴくりと体が揺れる。

「白銀、」
「・・・はい」

そして彼はまた繰り返すのだ。

好きだよ。
お前が、好きだよ。

彼の真意が分からなくて、白銀は途方に暮れたようにただどうしてと思うばかりで。
ワタシはちゃんと君が好きなんですと、気持ちを教えるように。
昶くん、と呼びかけて好きだと嘯くその唇を優しくふさいだ。




あなたが好きだと言ったのは、あなたを困らせたかったから
(そして僕でいっぱいになってほしかったの)





おしまい。

白銀→←昶みたいに、相反していく白昶も大好きです。


お題>>31D(サイダー)(http://chu.futene.net/31d/)

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