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□きみのこころに
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4.きみのに触れさせて



「悲しいものだな」
「私は光で、お前は闇で」
「こんなにも近くにいるのに」
触れられない。

そう言って手を伸ばす光の王の手を煩わしそうにはねのける。
触れられたいと思ったこともない。
触れられないのならそれでいい。
(触れられるのは、怖い)

「焔緋、私が」
「お前を好きだと言ったなら」
「お前はやはり、拒絶するのだろうな」

当たり前のことを。
誰かを恋い慕うなんて、愚か者のすることだ。
それに、もう話すことはないだろう。
逢わなければいつか、そんな気持ちも薄れていくのだ。
(それが哀しい、なんて言わない)

「焔緋」
「それでも私は、お前に触れたいと願うよ」

(どうしようもない愚か者に恋をしたこの心にさえ)
(お前は触れたいと願うのか)

おしまい。

劉→←焔^q^

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