企画
□バレンタイン
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高校1年 相川豪の場合
「なあ、相川。罰ゲーム付きウノしないか?」
人数たりないからって呼ばれたみたいだけど、上条がさり気に混じってるし!
「部活遅れるし、またな」
なんか上条って苦手なんだよなー。
部室に向かう途中、上条と初めてまともに話た時のことを思い出した。
同じクラスにいるのは知ってたけど、いつも小幡といるし、寝てるし、そのわりに成績はいいし(あ、ちょっと羨ましいとか思ってないぞ)
だから「名前、何?」がまとも会話でも驚かない。
次の会話は抹消することにしたので省略!
「うがー」
「相川、どうしたの?うなって」これから部活なんでしょっと若スマイルしながら、声かけてくる。
「あ、若。帰るのか」いつもは漫研にいるはずだけど、マフラー巻いてるし。
「ちょっとね。でもまたデッサンさせてもらいに行くから」
「おう、先輩に言っとく」
「よろしくお願いします!」
道場に入ると気合いが入る。
先輩と型の稽古をして褒められた。高校から始めた空手はかなりハマってきたかもしれない。
5分休憩の時の何気ない話も好きだ。
今日の話題はバレンタインでおもしろくないけどさ。
「相川、俺達にチョコくれよ」輪に入らずボーとしてたら部長に言われて、驚いて茶を吹いた。
「ゴホゴホ、ちょ、罰ゲームですか?」
「世話になった人へ送るんだものな」
お中元、お歳暮みたいにハムじゃダメなんだろうか
その後の練習はさんざんだった。
はぁ〜、どうするかな。
朝の寒々しい空気に吐く息が真っ白。なんてちょっとセンチメンタルにもなるよな。
少ないとはいえ女子は居るわけで、何が悲しくて自分達用チョコを用意するはめに。
手作りって……俺のバレンタインは暗くてまさにブラックビターチョコのようだぜ。
朝練に行くと
「今日もよろしくお願いします」
朝から爽やかな若の声が聞こえて、暗黒大宇宙から瞬間的に帰還した俺。