小説

□日々精進
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「今日こそ逃がさないぞ」
超が5こつくレベルのしつこさで上条の声が近づいてくる。
「しつこい!」
俺の必殺威嚇回しげりはあっさりかわされ、がっちり肩をつかまれちまった……
「あきらめて オレのものに」
ぐわっと上条の顔が近づいて思わず手が出た。

うっかりマジにこぶし入ったけどコイツ大丈夫か?

意味不明な声でなんか言ってる上条からじりじり離れつつ様子をうかがっていると、

「クリティカルヒットだったみたいだね。大丈夫?相川」
我が親友の癒やしボイスが聞こえてすぐにかけ寄る。
「若、助かった〜 」
もう大丈夫だよとにっこり笑う姿はまさに王子。
学校の数少ない女子にモテるだけはあるよな。しつこいオレ様何様上条とは段違いだよ。

「相変わらず何処にでも飛んでくるな、若王子」やっと起き上った上条が若を睨んでくる。
うわ、舌打ちまでしたよコイツ

「何処でも口説く君には言われたくないけどね、上条君」
えっと若、口説かれてなんかないぞ。
焦って若の腕を引っ張ったけど、大丈夫だから黙っててねと若スマイルが飛んでくる。

周りの女子が流れ玉に当たってキャーキャー言っているのも聞こえてなさそうな2人はまだ継続中。

「そのすかした態度が気に食わない!そして顔もだ」
女子の視線は若に釘づけだもんな〜でも
「顔は関係ないだろう。若、さっさと行こうぜ」
毎回若にまで絡んでくる上条とはこれ以上話したくないし。
それより4月の大問題について作戦を練らないと。

今日は超2個くらいのしつこさだったみたいで、追いかけてくる気配はなさそうだ。


「また逃げられたのか」
という小幡の声がした。やっと追いついたのかよ。
小幡の顔を見ようとチラッとふり返る。
手には文庫本、走ってはなさそうなきっちりした姿の小幡と何か言ってる上条。これ以上2人を見てても有意義じゃないし。
朝のひと騒動に疲れた俺は安息の地である教室に入ることにした。
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