『笑顔の配達人』本編
□第四話『コンビ結成』
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その後も俺と富川は相変わらずの仲だった。
高3の夏、富川に話があると呼び出され待ち合わせ場所の公園へ向かった。
ヒグラシの鳴き声が響く夕方の公園だ。
俺が公園に着くと富川がベンチに座って待っていた。
「富川〜どうかした?」
俺は小走りで富川の座るベンチへ向かった。
「よぉ、河西。休みなのに呼び出してゴメンな。」
「おぅ、平気平気。」
「河西さ、相変わらず弁護士目指してるのか?」
「あぁー。うん。なんで?」
「いや俺さ、高校卒業したらお笑い芸人になりたいんだ。」
いつになく真剣な表情の富川。
「おぉ、富川ぽいな。応援するよ。」
内心驚いたが平静を装う。
「それでさ……。俺とコンビ組まない?」
「…………………っ。」
突然の出来事で一瞬頭が真っ白になり、俺は俯いたまま黙り込んでしまった。
沈黙が続き、ヒグラシの鳴き声だけがその場に響く。