『笑顔の配達人』本編
□第五話『進路』
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それから月日は瞬く間に過ぎていった。
高校生活も残り僅かとなり、そろそろ進路を明確に決めなければならない時期になっていたのだ。
「なぁ富川、高校卒業したら、すぐお笑いの養成所行くよな?
どこが良いかなぁ〜。俺は、マスカワ芸能プロダクションの養成所が良いな。」
「おっ!MCSか。俺も良いと思ってたんだ!コンビで入ると学費の割引きあるしさ♪」
「マジで?!じゃ決まりだな。」
俺と富川は未来への希望で満ち溢れていた。
――――――――
その日の晩、俺が家でゴロゴロしているといつものように親父が仕事から帰って来た。
俺が小2の時に病気で母が亡くなり、うちは父子家庭だ。
「春樹っ、お前進路どうするんだ?」
スーツのジャケットをハンガーに掛けながら親父が俺に問い掛ける。
「うーん。今日はちょうどその事で親父に話があるんだ。」
「おっ何だ何だ?行きたい大学でも決まったか?」
親父は笑顔で、居間に居る俺の正面に座った。
「俺さ、富川とお笑い芸人になるから。」