‥◆obscurite◆‥

□久遠昏冥
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 27時。

 暗闇の中でぼんやりと浮かぶ時計の針は、大分前に日付が変わっていることを示していた。
 ベッドに背を凭れ、何をするわけでも、何を見るわけでもなく。
 ただ座り込んで、朝陽が射す刻限を待つ。

 いつだったか、一日の長さは『23時間56分04秒』だと聞いたことがある。
 それなら何故『24時』以降に『27時』なるものが現出したのだろうか。
 人はいつから、時間を操れるようになったのだろうか。

 そんな考えで時間を潰すのは、眠ることができない所為。
 もう何日も『一日』が続いている所為。

 眠れる時がくるまで、終わらない『一日』。

 部活で酷使した身体をベッドへ投げ出せば、おそらくは躊躇うことなく眠りに堕ちる。
 眠りたいとは思う。
 遠ざかる背中が其処にないのなら、眠れると。

 決まって観るのは。
 強く抱き締めたその後に見せる、眼鏡の奥で和らぐ瞳。
 一度瞬きして目を開くと。
 振り返ることなく離れる背中。
 追いかけようとしても、身体は鎖に繋がれ動かない。
 呼び止めようとしても、喉を切られて声が出ない。
 やがて、点となって視界から消える影。
 置き去りにされる恐怖で目が醒める。
 夢と現実の境界に迷いそうで。

 眠らなければ、きっと此処が『現実』。

 目の端に入る薄い光が、何度めかの朝を告げる。
 そしてまた、何時間あるのか判然としない、久遠の『一日』を過ごすために。
 一度だけきつく目を閉じ、立ち上がった。

 眠りに堕ちる、その時がくるまで。

 終わらない『一日』。


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 『裏』というよりは『地下』というコンセプトで設置した場所に置いていた読物です。
 言わなければ解らないですが、塚←不二です。

 人はどんなに少ない睡眠時間でも、眠るから『一日』が終わったと認識するのではないかと。
 だからこそ『27時』などという時間が存在(実際に在るかではなく、呼び名として認識されているという意味で)するのではないかと。

 塚不二サイトとして稼働していた頃、何故か「この話が好き」と言って下さる方が多くて驚いたことを覚えています。
「みんな病んでるのかな……」と少し心配になりました(笑)。

 

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