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□君の世界に属するすべて。
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リビングのソファーに座り、テレビのリモコンを取ろうと手を伸ばした先。

ふと、水色に白い花柄のティッシュケースが目に飛び込んできた。

「あ。」



こんなことで、と思う。

こんなことで思い出してしまう自分はやはり末期だ。



でも、それは本当に君の色をしてたから。









『君の世界に属するすべて。』











よく晴れた日の空とか、ぽっかり漂う白い雲とか。

もしくは、薄暗いけど暖かい、少し寂しげな夕日のあたる廊下とか。

温かいココア。


淡いスッキリとした花のような香り。


スパイス。


散らばったDVD。


しっとりとした霧のような雨。





君の世界は繊細で曖昧で。脆くて。深い。


オレは弱くても強く在ろうとする君を守りたくて。


君を思い出させる、君の世界の欠片を探す。



あの時みたいに。


君が、そうしてくれたように。












「アッシュは、ぽかぽかお日様みたいな匂いだね!」

城のバルコニーで洗濯物を干していたら、いつの間にやって来たのか、スマイルが腕に顔を寄せてきた。

「わっ!…ビックリしたぁ」
「ヒヒ☆大成功〜」

小さなイタズラが成功して、スマイルはうれしそうに笑う。

アッシュも小さく笑って、洗濯物を干すのを再開すると、隣に並んでそれを眺めるスマイル。

アッシュはふと、さっき言われたことを思い出して訊いてみる。

「お日様の匂いって、洗濯物が乾いたときの匂いっスか?」

「そう。あったかくて、香ばしくて、金色の匂い!」
匂いに色があるのかなと思ったが、なんとなくわかる気がした。


「確かに、いい匂いっスよね。」

「うん!ボクの中では、あれはアッシュの世界の匂いなんだ。」

「?」

スマイルの言っている意味が分からず、首を傾げると、スマイルはちょっと上を向いて考える。

「んーとね、いい匂いの洗濯物とか甘いお菓子とか、ティーカップとか、カーテンを開けて入ってくる朝日とか、緑の庭とか。そういうのが、ボクにとっての君の世界。」


そういう一つひとつにアッシュの欠片があって、思い出させてくれるんだよ。
ここにいるって。
だから、たとえいつも一緒じゃなくても寂しくないんだ。

アッシュがいるから、そこにある物に君を感じることができる。


「そう考えると、幸せでしょ?」

「スマ…!」

見上げてにっこり笑ったスマイルが愛しくて、そんな風に思っていてくれたことが嬉しくて。
細い身体をぎゅっと抱きしめた。










「アッシュ、どうかした?」

チャンネルを取ろうとして固まってしまったアッシュを不思議に思い、下から覗き込むスマイル。

「へ?…あ、なんでもないっスよ!」

慌てて笑みを作ると、スマイルは「変なの〜」と言いながらもギャンブラーZの最新ゲームに意識を戻した。


アッシュは、そんなスマイルを横目でチラリと見る。

そして小さく苦笑する。




あれから、オレの中でのスマイルの世界はどんどん大きくなって。



小さなことにも君を見つけるたびに嬉しくなる。



本当に重症だ。





こんな幸せに気づかせてくれてありがとう。





オレの世界の中心にいる君へ。








end.




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似ているものを見つけると、嬉しくなったりしませんか?
という話。(ざっくり)

イメージとか、その人の好きなものとか。


拝読ありがとうございました!


(2011/12/6)

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